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梅生誕祭⑩
散々指で中を掻き回されたあと、『背中が痛かろう』と、オレをうつぶせにさせた皇は、オレの腹を抱えて、後ろからゆっくりと入ってきた。
「ひっ、あぅ……」
ずぶずぶと埋め込まれていく感覚に、背筋がぞわぞわして鳥肌が立つ。
「やっ、あ、はっ、あ、んっ、う……」
どこまで入っちゃうのかと思うくらい……奥まで入ってくる。
後ろから入れられたの、一番最初の時以来……かも。
いつもより深い場所までこすられて、また背中がゾクリと震えた。
頭を上げていられない。
縁側に敷かれるように落ちた薄い掛け布団に額を付けると、意図せず腰を高く上げる格好になった。
恥ずかしい……でも……逃げられない。
気持ち良さに、腰が動くのを止められない。
少しすると、皇の抽挿のリズムと、オレの動きがしっくり重なった。
な、に……これ?自分でもわかる。どうなってるのか自分でわからないけど……皇のペニスが出し入れするのを、オレのそこがきゅうきゅうと吸い付いているのがわかる。……すごい、いい。
「はっ、あ……はぁっ、あっ……」
背中からぎゅうっと包むようにオレを抱き込んだ皇が、オレのうなじを、甘く、噛んだ。
「んはぁっ」
「青葉」
呼ばれて振り返ると、皇と唇が重なった。
もっと……キス、したい。
唇を開くと、皇の唇が隙間なく重なって、舌を強く吸われた。
「んっ!……んっ、っ……んんっ……」
気持ち……いい……。飛んじゃいそう。
そう思うといつも怖くなっちゃうのに……今日は全然怖くない。もっと、もっと……重なり、たい。
「はぁ……」
皇。
「んぅ、ん、う……」
皇。
「ふ、あ……」
……大好き、だよ。
「すめら、ぎ」
大好き、だよ。
「ふわっ!」
寒さで全身に鳥肌が立った。
わざわざ薄い掛け布団を一枚下に敷いただけのこんな寒い縁側で……やることなかったんじゃ……。
あったかい布団が敷いてある部屋はすぐそこなのに!
でもオレも……部屋に入るのすら……もどかしかったし……。
さっきまで熱くて熱くて溶けそうだったのに、コトが終わってしばらく経つと、急激に寒さが身に染みてきた。
着物はかろうじて体にまとわりついている程度で、ほぼ全裸でしょ?これ……。
こんな格好で窓が開いてる縁側で横になってたら、いくら皇にすっぽり包まれてるからって、寒いに決まってる。
「何だ?今のは」
「寒いっ!」
皇は、ほとんど下敷きになってる着物を引っ張って、さっとオレの体を包むと、オレを抱き上げて、部屋の布団の上にポスンと置いた。
「うわっ!」
「風邪などひいては生徒会の仕事に穴を開ける」
皇は縁側の窓と部屋の障子を閉めると、オレを抱きしめて掛け布団にくるまった。
「……ん」
皇の胸は……熱い。
ドクドクいってる心臓の音が心地よくて、あったかくて……眠くなる。
足……冷たい。
あったかい皇の足に足の裏をくっつけると、皇がぴくっと震えた。
「ぷふっ」
「ん?そなたの足の裏は、一体何だ?」
皇がオレの足の裏をふにふにと触った。
「何って……ちょっ!くすぐっ、たぃだろ!」
さすがに蹴り飛ばすのは我慢して、皇の手の平の中で、もじもじと足を動かした。
さっきまで足袋を履いていたし、そこまで汚くはないと思うけど……それでも、足の裏をこんな風に……何ていうか、大事そうに包まれちゃうと……恥ずかしいだろうが!
足を引っ込めようとすると、目の前の皇が眉を顰めた。
「足の裏とはこのように柔いものか?」
はぁ?
柔いものかって聞かれても……自分のしか触ったことないし、わかんないよ。
それ言ったらお前のほうが、他の人の足の裏、触ってるんじゃないの?!そんな風に考えるとムカムカしてきた。
「オレよりお前のほうが知ってるんじゃないの?駒様のとか、ふっきーのとか……どうなんだよ?」
オレの足の裏をふにふに触り続けていた皇が、ぴたりと手を止めた。
「……」
「お前今、誰かとオレの足の裏、比べただろ?」
「そなたを……誰かと比べるような真似はせぬ」
皇はそう言うと、オレの足を離した。
布団の中で自分の着物を広げると、素肌の胸にオレを抱きしめた。
結構ムッとしてたのに……すごくあったかくて……安心しちゃって……ねむ、い。
「このように冷えて……風呂に入るが良い」
「……眠ぃ」
「そなたは……」
「皇……」
「ん?」
「……すめ、らぎ」
「ん?」
ホント……寝ても、いい?お前の体温と心臓の音……すごく、眠くなるんだ。
「す……め……」
眠りに入るオレのおでこに、皇がキスをしたのが、感触でわかった。
「…………しぃ……青葉……」
今何て言ったの?聞こえなかった。
でもオレにはもう、目を開けて聞き返す力は残ってな、い。ね、む……。
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