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うつるんデス⑦
泳ぎの追試は、ほぼパーフェクトで合格を貰えた。皇に至っては、泳ぎもせずに合格になってたけど!
「ようやった」
更衣室に戻って来てすぐ、皇はそう言って、オレの濡れた頭をポンッと撫でた。
「ん。……ありがと」
曲輪に初めて来た日、お堀を泳いで逃げる日が来るかもしれないって、本丸のお風呂で泳ぎの練習をしたことを思い出して、吹き出した。
「ん?」
「ううん」
皇から逃げたくて、必死だった頃があったんだよね。
「今なら、お堀一周でも泳げそうだなーって思って」
「そなたが欲しがったとて、プールだけはやらぬ」
「は?」
「プールなど作れば、そなたは平気で、余以外の者の前で肌を晒すに違いない」
「この水着ならいいんじゃないの?」
お前がとおみさんに指定した、この全身覆うタイプの水着なら、晒そうったって晒せないじゃん。
「ならぬ」
「……」
この水着が駄目だったら、もうあとは着衣水泳しかないじゃんか!そこまでして入りたくないし。
「そなたはどうも思うておらぬとも、そなたをそういう目で見る者は多い。……衣織と同じだ」
「は?」
何故、今、藍田?
「そなたが、衣織をただの弟くらいのものとして見ておるとしても、衣織は違う。あれがそなたに近付くのを、余が手放しで許していると思うたか」
「藍田といても何にも言わないから、気にしてないのかと思ってた」
藍田っていうか、オレのこと、気にしてないのか、とか、思ったりしてた。
「藤咲がおれば、衣織とてそなたに手は出せぬであろう?ゆえに黙っておったに過ぎぬ」
「そう、なんだ」
「油断して、二人きりになぞなるでない」
「……ん」
オレが藍田と一緒にいても、皇が怒ってこないのは、天戸井の相手が忙しくて、オレのことなんか見てないから?とか……ちょっと……ふてくされたり、してたんだ。
オレだって、こんな風に皇と二人きりになってるくせに……。
「そなたを……信じておる」
皇は、泳いでないから濡れてないのに、びしょ濡れのオレを抱きしめたら、皇まで濡れちゃうじゃん、バカ。
「……」
皇の唇が、やけに熱かった。
「そなた、体が冷えておる」
背中からオレを包み込んだ皇の体は、いつもより熱く感じた。
脱ぐのが大変なはずの水着は、皇の手でいとも簡単に脱がされた。
「ちょっ……」
「昼は追試のために余を拒んだのであろう?……追試は終わった」
皇の熱い指が、乳首に触れた。
体の中心がブルリと震える。
皇が言う通り、皇の指を止める理由なんか、オレの中にはもう、一つもなくて……。
「はっ……ここ……危なく、ない、の?」
すぐに乱れ始める自分の呼吸が、恥ずかしい。
「そなたが泳ぎの試験に落ちてすぐ、プールの警備を強化させた」
ふと視線を落とすと、湿ったオレの身体のほうが、皇の手に吸い付いているように見える。
尖った乳首が、皇の指の下で左右に揺れて、冷えていた身体が、あっという間に熱くなった。
「んっ……」
背中に皇の……当たってる。
ペニスをそっと撫でられて、体を前屈みに曲げると、皇に腕を取られた。ロッカーに手をついて、体を支えているようにと、皇が囁いた。
「ふっ、あ……」
後ろから回された皇の手が、乳首とペニスの先端で上下してる。
声を漏らさないように唇を噛んでいると、皇の指が、口をこじ開けた。
「ああっ!は、あぁっ!」
無駄な物の置いていない更衣室に、オレの声だけ、響いて……。
「やっ……はっ、あっ!」
ペニスの先端……そんな風にされるの……すごい……気持ち、いい。声、我慢、出来ない。
オレの背中に何度もキスをしていた皇が『塩素の匂いだ』と呟いて、肩甲骨を舐めた。
「んぁっ!」
背中をぞくぞくと震わせると、皇は、乳首をつまむ指にキュッと力を入れた。
「あ!うっ……はっ、あ……あぁっ、皇っ!」
いつの間にか爪先立ちになっていた足が、ガクガク震え始めた。
「……足を閉じておれ」
「はっ、ん、んんっ!」
閉じさせられた太腿の間に、皇の熱いペニスが、ぬるりと差し込まれた。
「あっ!」
屹立した皇のペニスが、オレのペニスの裏筋を擦り上げながら、太腿の間を行き来する。
「やっ!あっ……んあっ!」
足を震わせ続けるオレの腹を抱えた皇は『青葉』とオレの名前を呼びながら、さらにペニスを擦り付けてきた。
「皇っ!あ、あぁっ!」
皇のペニスで裏筋を擦られる刺激は、手や口で扱かれるより、緩やかなんだけど……。
「はっ、あ!や、っんぁっ!」
皇のが、オレのを擦ってるっていう状況に……煽られて……。
「だ……も、あっ!皇!んんっ!はっ、あ、あっ!」
オレが達してすぐ、皇が体を震わせたのを、背中で感じた。
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