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夏休み~受験生だっつうの~④

「オレが何を勘違いしてるって?」 「余は晴れと幼馴染などではない」 「うえっ?!」 な、に? 「え……だって、塩紅くん、小さい頃から母様をとも先生、皇をちーくんって呼んでたって言ってたじゃん!」 塩紅くんが小さい頃からちーくんって呼んでるって話した時、お前も一緒にいたじゃん! お前、何にも反論してなかったよね?だからオレはてっきり、お前と塩紅くんは幼馴染なのかと……。 「晴れが、しらつき病院の塩紅部長の息子なのは知っておろう?御台殿は、晴れが生まれた時より知っていらっしゃるだろうが、余が晴れに会うたのは、展示会が初めてと記憶しておる」 「え?じゃあ……小さい時からちーくんって呼んでたって、どういうこと?」 「余は知らぬでおったが、晴れは幼き頃より、余をそのように呼んでおったと、そういうことであろう?」 って……それって、言い方は悪いけど、その……塩紅くんが勝手に、小さい頃から皇のことをちーくんって呼んでたって、こと? 「何だよ、もー!お前と塩紅君、幼馴染だってずっと思ってたのに!」 「あ?何故そなたが憤慨しておる?」 なにゆえって!オレだって、何に怒ってるのかわかんないよ!もー! だって母様、塩紅くんのこと、すごく可愛がってるみたいだし!さぞかし皇も、小さいうちから仲良く育ってきたんだろうって……少なからずショックを受けたりしてたのに!違うとかさ! ……確かに、オレが怒るとこじゃないけど! 「幼馴染であったなら、二年の遅れなぞ気にせぬであったろう」 「あ……」 そっか。候補に通達された新しい規則は、塩紅くんと天戸井が、候補として二年遅れてるから決まったことって、駒様が言ってた。 確かに小さいうちからの知り合いなら、二年の遅れどうのなんて理由で、あんな規則が出来るわけない。 そっか。本当に幼馴染みじゃないんだ……って……今度は喜びそうになって、自分を止めた。 塩紅くんが幼馴染じゃなかったからって、オレが嫁に決まるわけじゃないんだから。 「雨花、余は朝には誓のもとに戻り、そこより本丸に戻らねばならぬ」 「あ……うん」 そうだよね。 「……良いか?」 「えっ……」 良いかって……何が……って……この感じはもう、間違いなく、そういう、ことで、間違いないんだろうけど……。 でも、駄目でしょ?こんなとこで!駄目だって! 「先生とか、いるんだよ?すぐ上に」 「この部屋は勉強部屋として防音加工されておる。そなたが無駄に大きな声をあげねば気付かれぬ」 皇に、とんっと軽く肩を押されただけで、オレはベッドに転がった。 「ちょっ……」 「狭いのも、また良いものだ」 オレの体をまたぐように、上にのしかかった皇は、すぐに唇を重ねて、Tシャツの中に手を入れた。 「ひゃっ……う……」 皇に触られるのが久しぶりってわけでもないのに……何かすごい……ジンジンする。 大きな声を上げそうになって口を両手で押さえると、皇は鼻で笑って、Tシャツの中に顔をもぐらせた。 「っん!」 乳首を舐められた感覚に、身震いする。 『ちっ、ちっ』って、皇が乳首に吸い付く音が、Tシャツの中から聞こえてくる。 「んんっ……んっ……」 もう片方の乳首を、皇の指でつままれた時、ドクンっと下半身に血液が一気に流れた。 「はっ……んっ……」 皇の両足で、足を抑えられていても、腰が緩やかに上下してしまうのを止められない。 皇はTシャツの中に頭を入れたまま、オレの足の間に膝を入れて、ぐいぐいと股間を押してきた。 「んっ……はっ、んっ!」 薄いジャージ素材の短パンの上から、そんな風に押されたら……。 「はっ……す、めらぎっ……」 口を塞いでいるのが辛くなって、手をどかした。 はぁはぁと荒くなる息は、Tシャツから顔を出した皇の口で、再び塞がれた。 「んんっ……んうっ……」 「大きな声を出すでない」 いつかも、こんな風に、大声を出すなって言われた覚えがある。 ああ、修学旅行の、雨の夜だ。 あの日は結局、最後はもう、訳わかんなくなっちゃって、声とかもう、どうでも良くなっちゃったけど。 今夜は絶対、大きな声なんか……。 「んああっ!うっ……」 皇の指が、急に滑らかにオレの中に入ってきて、つい大声をあげてしまった。 顔を上げた瞬間、小さな灯りがついているナイトテーブルの上に、いつの間にか見覚えのある貝が置かれているのが目に入った。 修学旅行の時、巾着に入っていたあの貝だ。 キスをしながら皇は、オレの中に沈めた指を、さらに奥まで進めた。 「ふっ、うっ……う、あ……」 そのへん、すごく……気持ちいい。 でも……もっと奥のほうを、強くこすられるのも……弱くて……。 指じゃ届かない場所が……奥のほうでジンジンと……こすられるのを、待ってる。 「あっ……皇っ……皇っ」 出来る限り小さく皇を呼ぶと、皇は『堪え性のない奴め』と、嬉しそうにオレにキスして、ズボンとパンツを一気に脱がせた。

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