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みたらし団子も好きになったようです③

オレが知ってる零号温室は、南国風な植物の間に、豪華なソファセットが一つ置かれているだけの空間だった。 なのに今、目の前に広がっている風景は、まるで『森』だ。 「えっ?あれ?」 本当にここ、零号温室? ぐるりと見回すと、天井は見慣れた零号温室のそれだけど、それ以外は、本当に森の中にいるようだ。 ふと足元を見ると、オレが立っている場所は、川に掛けられた橋の上だった。 温室の中に、幅の広い川が流れている。 蓮の葉が所々浮いていて、その陰に小さな魚が泳いでいた。 「うわぁ……何で?」 すごい!前の零号温室とは全然違う!いつの間にこんなことになってたの? 「夏休みの間に改装させた。参れ」 皇に手を引かれて橋を進んでいくと、大きな沙羅双樹の木々に隠れていた小さな東屋のような建物が見えて来た。 「何?あれ?」 「風呂だ」 「はいい?」 森の中の露天風呂のような趣だ。 温室の中だから、露天とは言わないかな? 夏休みの間に、こんな大改装するとか……ここ学校の中だよね?どんだけだ?鎧鏡家! 「お館様にデザインしていただいた。どうだ?」 「どうだって……すごいよ。すごいけど……あと半年もしないで卒業なのに……」 「なのに、何だ?」 「そんなに使わないだろうに、もったいないなぁって思って……」 「そなた、お館様の造られる庭が好きであろう?」 「え?好き、だけど」 「ここはどうだ?」 「え?うん。好き」 「それで十分、無駄とは思わぬ」 「……」 そういうこと、サラッと言うなよ! 変な期待したくなるじゃんか、バカ。 「風呂があったほうが、何かと都合が良かろう?」 「は?」 何の都合だよっ! 「参れ」 「え?」 また皇に手を引かれて、連れて行かれた東屋の奥には、いつものソファセットが置かれていた。 皇はお弁当をテーブルに置いて、食べる準備を始めた。 「余が卒業しようが神猛はなくならぬ。お館様の建てたこの温室を余がこうして使っているように、いずれ余のもとに参るであろう若子も、この温室を使う日が来るであろう」 「あ、そっか。それならもったいなくないか」 オレはその子を、どんな立場で見ることになるんだろう。 「そなたがこの改装を気に入ったのであれば、今この時だけしか使わぬとて、無駄なことをしたとは思わぬがな」 「……」 だから!ホント……期待するから、そういうこと言うなっつうの! そういうの、オレ……言われ慣れてないし……オレを嫁にする気なのかな……とか、めちゃくちゃ期待しちゃうじゃん!バカ! 「何を膨れておる?」 「何でもない!」 オレは、急いでお弁当を食べ始めた。 「温室の中、見て来ていい?」 「ああ」 お弁当を食べ終えたあと、オレは温室を見て回ることにした。 川の流れる音を聞いているだけで、体の中が綺麗になっていく気がする。 「そなた、庭の鯉をことさら愛でておったゆえ、鯉の稚魚を放した」 「へぇ、これ鯉の稚魚なんだ?」 小さい頃から何度も引っ越しをしてきたけど、いつでも家の近くに川があった気がする。 父上の趣味なのか、会社の都合だったのかはわからないけど、ビルが建ち並ぶ都会というよりは、緑が豊かな田舎に住むことが多かった。 だから、森と川がある風景って、何か落ち着くんだ。 川べりにしゃがみ込んで、小さな鯉の稚魚を覗き込んだ。 「ちっちゃくて可愛いね」 そう言いながら、オレの隣にしゃがみ込んだ皇の顔を見上げると、驚いたような顔をした皇に、急にキスされた。 「ちょっ……」 び……っくり、したぁ。何だよ、急に……。恥ずっ。 「五限は出ねばならぬか?」 「え……」 オレが何の返事もしないでいると、皇はまたふっとキスをした。 ランチ当番の日は……たいがい……シてる。 五限は出ないで、このまま、シてもいいか……って、こと? お風呂があったほうが都合がいいって……そういう意味……で、言ったん、だよね? ……せっかく、お風呂造ったんだし……使わないと、さ、もったいない、し……。 なんて自分に言い訳をして、オレは、皇とかち合った視線を下げながらまぶたを閉じた。 視界を閉じてバランスを崩した中、皇に肩を掴まれた衝動で膝をつけた。 口の中に舌を差し込まれて、皇のシャツを握ると、皇の指は、オレの紺色のベストの上から的確に乳首を押し潰した。 「ふぅっ……んっ……」 皇の手が、オレのシャツの裾から中に入ってきた。 直接乳首を触られて、小刻みに体が震える。 「はっ……あ……」 足までガクガク震わせ始めたオレを抱え上げて、ソファまで運んだ皇は、先に自分が深く腰掛けて、子どもを抱っこするように、オレを膝の上に座らせて、背中からきゅっと抱きしめた。

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