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みたらし団子も好きになったようです⑩
ご飯を食べ終えて、お膳を片付けてもらったあとも、月は顔を見せてはくれなかった。
お茶をお持ちしましょうと言ってくれたふたみさんに、すぐ部屋に戻るのでいりませんと返事をして、もう一度空を仰いだ。
「出ないね、中秋の名月」
「落胆することはない。ただの丸い月だ」
「ただ月が丸いってだけで、何か嬉しくなるじゃん」
「そうか?そなたがそう申すと、残念に思えて参るな」
「だろ?」
「そのように待っておると、誠、そなた、月が出ておれば、心を奪われていたやもしれぬな」
「オレのことばっかり言うけどね?実際月が出てたら、皇のほうが心を奪われてたかもしれないよ?」
月の魔物だって、オレと皇がいたら、皇の心を奪いたいと思うだろう。
「余は、月の魔物に心を奪われることはない」
「は?何で自信満々だよ。わかんないじゃん」
「満ちた月より、余を惑わす魔物がおるゆえ」
「ぅえっ?何それ?」
また日本昔話風の話?
正座をしている皇は、オレのほうに膝を向けると、膝を抱えて座っているオレの顔をじっと見て、オレの顎をくっと上げた。
「そなただ」
「……」
え?
……。
……。
……。
……恥ずっ!
顔がブワッと熱くなるのと同時に、皇の唇が、オレの唇に重なった。
唇が離れたと同時に、オレは抱えた膝に顔を埋めた。
恥ずかしくて、皇の顔……見られない。
隣で立ち上がる気配がしたから、チラリと覗き見ると、皇がオレの後ろに座り直したのが見えた。
「簡素な服で余を出迎えおってと思うたが、これはこれで都合が良い」
皇は、オレの背中から回した手を、白いポロシャツの中に突っ込んだ。
「ひゃっ!」
「着物では、そなたのここに手が届くまで時間がかかる」
そう言って、皇はオレの左側の乳首を、親指の腹でぐりぐりと撫でた。
「やっ……ちょっ……すぐ……戻るって言った……か、ら……遅いと誰か、呼びに、く、る……」
そう言いながら、皇の手首を掴んだけど、止めるほどの力が入らない。
すぐに乳首はジンジンと快楽を広げて、下半身を緩やかに反応させた。
「す、めら、ぎ……」
やめて欲しいと懇願するため後ろを振り向くと、皇はオレを仰向けに押し倒した。
「誰か参れば、手を止める。そなたのこのような姿……余以外の誰にも見せるわけなかろう」
めくられたポロシャツから、乳首があらわになると、皇はすぐにオレの乳首を口に含んだ。
「や、あ!……あ、皇……」
オレにのしかかっている皇の下で、もじもじと腰が揺れる。
皇はオレのジーンズのベルトを外して、下着に手を伸ばした。
あっ!そういえばオレ……めちゃくちゃ汗かいたままだった!
「やっ……ちょっ、オレ……汗……かいて、そのまま……」
皇が来たと聞いて、急いで帰って来たまま着替えもせずに、ここに来てしまった。
まさかこんなとこで……始まるとか思わないじゃん!
「良い」
「お前が良くても、オレがやっ……あっ!」
ズボンを下ろされまいと掴んだオレの抵抗なんかお構いなしに、皇はオレのズボンと下着をズルリと下げた。
「余を惑わすそなたが悪い」
強く腿を押さえ付けられて、逃げられない。
その時、階段を上ってくる足音が、微かに聞こえた。
「ちょっ!誰か来る!」
皇の肩を掴んで引きはがそうとしたのに、皇はオレのペニスを口に含んだ。
「ぅあっ!や……皇っ!やだ!ホントにやだっ!」
絶対汗臭い!ホントにヤダ!
思いっきり皇の肩を押したオレの手を掴んで、皇はさらにオレのペニスを吸い上げた。
「んんんっ!」
階段を上ってくる足音が、どんどん大きくなる。
絶対誰か、ここに来る!
「皇!誰か来る!」
誰か来れば、止めるって言ったのに!
皇は音を立てて、オレのペニスを口でしごき続けた。
「やっ……あ、くっ……皇っ……す、め……やぁっ……」
漏れる声を抑えるように、ギュッと口を結んだ時、階段を上って来た足音が、部屋の前でピタリと止まった。
なのに皇は、オレのペニスを口から外そうとしない。
「ふっ……んっ……ふっ……」
扉の外から『失礼致します』という、いちいさんの声が聞こえた。
「どう致した」
皇がペニスを口から外した瞬間、皇の腕から逃れようともがいたのに、皇は片手でオレの両手首を掴んで床に押し付けると、空いたもう一方の手で、オレのペニスをギュッと掴んだ。
「っひ……っく……」
声!こんな声、いちいさんに聞かれたくない!
「すぐ戻るとのことでしたが、いかがなさいましたか?」
やっぱりいちいさん、心配して迎えに来てくれたんだ!
いちいさんに返事をしたいのに、声を出せない。
皇を睨み上げると、皇はオレのペニスをさらに強く握ってしごき始めた。
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