379 / 584

みたらし団子も好きになったようです⑩

ご飯を食べ終えて、お膳を片付けてもらったあとも、月は顔を見せてはくれなかった。 お茶をお持ちしましょうと言ってくれたふたみさんに、すぐ部屋に戻るのでいりませんと返事をして、もう一度空を仰いだ。 「出ないね、中秋の名月」 「落胆することはない。ただの丸い月だ」 「ただ月が丸いってだけで、何か嬉しくなるじゃん」 「そうか?そなたがそう申すと、残念に思えて参るな」 「だろ?」 「そのように待っておると、誠、そなた、月が出ておれば、心を奪われていたやもしれぬな」 「オレのことばっかり言うけどね?実際月が出てたら、皇のほうが心を奪われてたかもしれないよ?」 月の魔物だって、オレと皇がいたら、皇の心を奪いたいと思うだろう。 「余は、月の魔物に心を奪われることはない」 「は?何で自信満々だよ。わかんないじゃん」 「満ちた月より、余を惑わす魔物がおるゆえ」 「ぅえっ?何それ?」 また日本昔話風の話? 正座をしている皇は、オレのほうに膝を向けると、膝を抱えて座っているオレの顔をじっと見て、オレの顎をくっと上げた。 「そなただ」 「……」 え? ……。 ……。 ……。 ……恥ずっ! 顔がブワッと熱くなるのと同時に、皇の唇が、オレの唇に重なった。 唇が離れたと同時に、オレは抱えた膝に顔を埋めた。 恥ずかしくて、皇の顔……見られない。 隣で立ち上がる気配がしたから、チラリと覗き見ると、皇がオレの後ろに座り直したのが見えた。 「簡素な服で余を出迎えおってと思うたが、これはこれで都合が良い」 皇は、オレの背中から回した手を、白いポロシャツの中に突っ込んだ。 「ひゃっ!」 「着物では、そなたのここに手が届くまで時間がかかる」 そう言って、皇はオレの左側の乳首を、親指の腹でぐりぐりと撫でた。 「やっ……ちょっ……すぐ……戻るって言った……か、ら……遅いと誰か、呼びに、く、る……」 そう言いながら、皇の手首を掴んだけど、止めるほどの力が入らない。 すぐに乳首はジンジンと快楽を広げて、下半身を緩やかに反応させた。 「す、めら、ぎ……」 やめて欲しいと懇願するため後ろを振り向くと、皇はオレを仰向けに押し倒した。 「誰か参れば、手を止める。そなたのこのような姿……余以外の誰にも見せるわけなかろう」 めくられたポロシャツから、乳首があらわになると、皇はすぐにオレの乳首を口に含んだ。 「や、あ!……あ、皇……」 オレにのしかかっている皇の下で、もじもじと腰が揺れる。 皇はオレのジーンズのベルトを外して、下着に手を伸ばした。 あっ!そういえばオレ……めちゃくちゃ汗かいたままだった! 「やっ……ちょっ、オレ……汗……かいて、そのまま……」 皇が来たと聞いて、急いで帰って来たまま着替えもせずに、ここに来てしまった。 まさかこんなとこで……始まるとか思わないじゃん! 「良い」 「お前が良くても、オレがやっ……あっ!」 ズボンを下ろされまいと掴んだオレの抵抗なんかお構いなしに、皇はオレのズボンと下着をズルリと下げた。 「余を惑わすそなたが悪い」 強く腿を押さえ付けられて、逃げられない。 その時、階段を上ってくる足音が、微かに聞こえた。 「ちょっ!誰か来る!」 皇の肩を掴んで引きはがそうとしたのに、皇はオレのペニスを口に含んだ。 「ぅあっ!や……皇っ!やだ!ホントにやだっ!」 絶対汗臭い!ホントにヤダ! 思いっきり皇の肩を押したオレの手を掴んで、皇はさらにオレのペニスを吸い上げた。 「んんんっ!」 階段を上ってくる足音が、どんどん大きくなる。 絶対誰か、ここに来る! 「皇!誰か来る!」 誰か来れば、止めるって言ったのに! 皇は音を立てて、オレのペニスを口でしごき続けた。 「やっ……あ、くっ……皇っ……す、め……やぁっ……」 漏れる声を抑えるように、ギュッと口を結んだ時、階段を上って来た足音が、部屋の前でピタリと止まった。 なのに皇は、オレのペニスを口から外そうとしない。 「ふっ……んっ……ふっ……」 扉の外から『失礼致します』という、いちいさんの声が聞こえた。 「どう致した」 皇がペニスを口から外した瞬間、皇の腕から逃れようともがいたのに、皇は片手でオレの両手首を掴んで床に押し付けると、空いたもう一方の手で、オレのペニスをギュッと掴んだ。 「っひ……っく……」 声!こんな声、いちいさんに聞かれたくない! 「すぐ戻るとのことでしたが、いかがなさいましたか?」 やっぱりいちいさん、心配して迎えに来てくれたんだ! いちいさんに返事をしたいのに、声を出せない。 皇を睨み上げると、皇はオレのペニスをさらに強く握ってしごき始めた。

ともだちにシェアしよう!