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嫉妬⑥

「皇っ!」 皇の腕をギュッと掴んで動きを止めると『あ?ここまで硬くしおって今更止めるか?』と、なおも擦り上げてくる。 「ちがっ……あっ……もぅ……出ちゃ…」 やばい!もう、出ちゃう!このままイかされちゃったら、着替えなきゃいけないじゃん!そこんとこ、考えろっつうの!バカ!バカ! もう今だってきっと、ちょっと……怪しいことになってそうなのに! 「ああ……少し待て」 皇は口端を上げながら、オレのベルトを外してズボンのファスナーを下ろすと、パンツからペニスを掴み出した。 で。 どこからかコンドームを取り出して、オレのペニスにクルクルっと被せた。 ぅえ?!っつか……オレ……初めて着けた。 え?何で、オレに着けてんの?オレが皇に……ソウ、ニュウ……な、訳ないよね? 「これで汚すことはなかろう?」 あぁ、確かにこれなら汚れない。 皇はオレの目尻にキスをして、またオレのペニスをギュッと擦り上げた。 「んんっ!」 皇の腕をギュッと掴んで見上げると、皇は眉を顰めて『そなたが達すれば良いと思うておったが』と、オレにキスをして『そのような顔を見せられては我慢が利かぬ』と言いながら、自分のペニスを出して、コンドームを被せた。 「え?」 「手を貸せ」 皇に手首を掴まれて、皇とオレのペニスを一緒に握らされた。 皇はオレの手を包み込むと、オレの手も一緒に、また上下させ始めた。 「あ!んぁっ!」 「雨花……」 コンドームのジェルが、ズルズル滑って……気持ち、いい。 皇はペニスを擦りながら、オレの口の中に舌を伸ばしてきた。 皇に押されて背中を壁に付けると、皇の手が、オレのシャツの中に入ってきて、乳首をグリッと指でえぐるように強く押してきた。 「はっ!ふっ……んっ……は、んっ、んんっ!」 皇の舌と絡み合わせている舌も、グニグニと押しつぶされている乳首も、どこもかしこも気持ちが良くて……オレは必死に皇と自分のペニスを擦り上げた。 「んんっ!んっ、んんっ!」 きも、ち……いい……も、いっちゃ、う、よ。 上手く立っていられない。 つま先立ちになった足は、太ももあたりに変な力が入って、プルプルと震え始めた。 足はつらいのに、体はどんどん絶頂に向かっていく。 「ん、んん、はっ、あっ、ひ、ぁっ!」 小さく悲鳴じみた声を上げて、オレは、コンドームの中に吐精した。 つま先立ちのまま、ガクガクと震えていた足の裏を地に着けると、体が大きくブルリと震えた。 と、同時に、皇も体を震わせて、オレをギュッと抱きしめた。 「はぁ……はぁ……」 「……青葉」 「はぁ……皇……」 皇にキスされたあと、抱きしめられるまま体重を預けたと同時に、ふっと駒様を思い出した。 「あっ!駒様!」 駒様が待ってる!早く皇を送り出さないと! そう思って、自分のペニスからコンドームを外そうとしたんだけど……これ、どうしたらいいの? 何も出来ずに固まっていると、いつの間にか服もきっちり直した皇が、オレのコンドームをクルクルと器用に外して、キュッと縛ってポケットに入れた。 「うおっ?!何してんの?」 「あ?」 「何で……今、ポケット入れたよね?オレの!」 「あ?このような場所に捨ておけるわけなかろう?」 あ……確かに。こんなところにコンドームが捨ててあるのが見つかったら、問題になるかもしれないよね。 「……って、いやいや!だからって何でお前が持って帰るんだよ!オレが持って帰るし!」 そうだよ!何でお前がオレの……あんな……あんなもん、持って帰るんだよ!恥ずっ! 「そなたはいつ落とすともしれぬ。余が持ち帰って処分致す」 「えええっ!ヤダよ!」 皇のポケットに手を突っ込んで、中の物を取り返そうとしたら、手を掴まれてキスされた。 「うっ!ちょおお!返せ!」 「そなたは早う、生徒会の仕事に向かうが良い」 皇に背中を押されて、オレはトイレから外に出されてしまった。 「ちょっ……返せってば!」 「今更、何を恥じることがある?そなたは早う生徒会の仕事に励んで参れ」 そう言って、皇はオレの頭を撫でると、急ぎがちに靴を履いて出て行ってしまった。 「うっ……」 皇のバカーっ! 皇の背中を睨んでいると、車の脇に立っていた駒様が、皇に頭を下げたのが見えた。 皇が中に入るとドアを閉めて、自分は助手席に乗り込んだ。 皇と一緒に、後部座席に乗るんじゃないんだ? 駒様が助手席のドアを閉めてすぐ、車は発車した。 「……」 駒様が待っていたのに……あんなことするなんて……。 『私は候補の前に上臈です』という、駒様の言葉が頭に浮かんだ。 皇にとって駒様は、候補っていうよりも、上臈ってことで……いいの? 期待……しちゃうじゃん。

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