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粗方薄橙色話⑥

「濡れたままなのに!」 「そのようなことを気にするのなら、愛らしいことを申すでない」 何故かプンプン怒ってる皇が、オレをシーツにくるんで、抱きしめた。 「昨夜、そなたを求め過ぎた自覚はある。まだ体が重かろう。(ねや)を強いることはしたくない。余を焚き付けるのは慎め」 『ん』と、皇の濡れているまつげにキスをすると『それもならぬ』と、すっぽりと頭からシーツをかぶされた。 「ちょっ!」 「そうだ。何か、余が落ち着く話を致せ」 「え?……んんん……受験のこととか?」 「お……もう目前だ。そなた、合格すると豪語しておったな」 「するよ。学部は違っても、絶対お前と同じ大学に通いたいもん」 そう言うと皇は『ならぬと言うておるに、そなたは』と、またプンプン怒り始めた。 「何?」 「愛らしいことを申すなと言うておる」 「何、それ」 「ならぬ。他に、話したいことは?!」 「あ!卒業式、皇、何着るの?神猛、何を着てもいいんだよね」 「鎧鏡の次期当主は、着るものが決まっておる」 「え?着物?」 「いや、歴代の当主が着た神猛の制服だ」 「へぇ、そんなのあるんだ?」 そこで鼻がむずむずしてくしゃみをすると、皇は『寒かったか?』と、シーツをめくってオレの顔を覗き込んだ。 皇の顔が見えたのが嬉しくて、にへっと笑うと、目を見開いた皇に、飛びつくみたいにキスをされて、その衝撃で、ベッドに押し倒された。 皇にくるまれたシーツがひらりと揺れて、素肌の胸が露出した。 「あ……」 シーツを戻そうと引っ張ると、皇の顔が、オレの胸にうずまった。 「皇……」 おずおずと、皇の指がオレの乳首に伸びてくる。 「深くは、求めぬゆえ……」 自分に言い聞かせるようにそう呟いて、皇は、オレの乳首をふわりと口に含んだ。 「んっ!」 お前が深く求めなくても、こんなことされたら、オレのほうが……。 皇が言うように、もう勃つことすら出来ないくらい、夕べ、これでもかってくらい……した、のに。 シシから贈られた、オレの中に出来た”印”がピクリと動いて、期待し始める。 深く求めないと言われたのに、皇のペニスじゃないと触れることすら出来ない体の奥で、擦られる機会を伺い始めてる。 右の乳首に吸い付きながら、左の乳首を指でこね回す皇のペニスが、熱く硬くなっていくのを、足で感じた。 「はぁ……」 もう、普通の呼吸も出来ないくらい……始まってる。 「すめらぎ……」 オレが何も言わなくても、どこを触られたいのかわかるって、言ったじゃん。 まだきっとオレのあそこは……広げなくても、ふにゃふにゃだと、思う。昨日、あんなにお前に、突かれたんだから。 潤滑剤も、要らないでしょう?お前を求めるほど、印から溢れてくるって、言ったじゃん。だってオレ……したい。今、お前と……。 軽く膝立てた膝を、偶然当たっちゃいましたみたいな感じで、皇のペニスに、当てた。 手を止めた皇は、ふぅふぅと深呼吸をし始めた。 「皇……」 我慢、してるの? 本当は……したい、の? オレは……したい、よ? 皇をじっと見つめると、皇は、オレの頬を指で撫でた。 「……痛むのではないのか?」 ふるふると首を横に振って、心配性の皇に、今、オレがして欲しいことを伝えた。 「奥、突いて……」 後ろから、ガツガツというように、皇に容赦なく突かれる。体を激しく揺さぶられて、皇のペニスが印に届くたびに、オレは喘ぎ声を上げて、四つん這いで踏ん張っていた体も、自分の腕で支えていられず、皇に抱えられた腰だけを上げて、ただ快楽に飲まれた。 何度絶頂を迎えたかわからない。 印を擦られると、吐精せずに登りつめた。 今まで感じたことのない、ふわふわした絶頂感がどこまでも続いて、喉が枯れるほど声を上げた。 さすがに擦られすぎて痛みを感じると、皇にはそれもわかったのか、そこでようやく、オレの中からペニスを抜いた。 「す、め……らぎ……」 ガラガラに掠れた声で皇を呼んで、その胸に顔を埋めた。 オレの頭に何度もキスをしながら、皇は、すまぬと、小さい声で謝った。 「オレ、が……してって、言ったん、じゃん」 お前が謝ることじゃないのに……。 「そのように、声を枯らして……」 裸の皇に、ぎゅうっと抱きしめられると、全身が幸福感でいっぱいになる。 「皇……」 「つらいか?」 違うよ、バカ。 「皇……」 「どうしたい?」 オレも、皇にギュッと抱きついた。 「もっと……ぎゅって……」 して。 「雨花……」 皇は、さっきよりもちょっとだけ強く、オレを抱きしめた。 「……」 好き、だよ。お前のこと……大好き過ぎて……どうしよう。苦しい。 息苦しくて顔を上げると『愛しい』と呟いた皇に、キス、された。

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