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第4話人間、を攫った(中)

 目が覚めると粗末な小屋にいた。  外にヨロヨロと出てみると、小さな小さな小島に小屋はたてられていて、そこが無人島なのがわかった。  人魚に船を襲われて、1人にげて、なんとか陸に逃げて・・・それから・・・忘れられるはずもない。  それから多分人魚に攫われたのだ。  小屋には船から持ってきたのか食料もあった。  かけられていた毛布が少し湿気っていたから、そうなのだろう。  ボートはズタボロに破かれて転がっていた。  このボートに濡れないように乗せて少年や食料などを、運んできたのだ。  そして逃がさないように壊したのだ。  少年は考える。  ここはそれほどあのさっきの陸より遠くはないのか?  でも、さっきたどり着いた島も、無人島のようなものなのは知っていた。  補給地だ。  ほぼ無人島だ。  潮の流れがく複雑だから・・・泳いでも、エンジンのないゴムボートがなければ・・・。  大体人魚が押して泳いだボートなら、どれほど遠くに連れて来られていてもおかしくはない。  少年は少し考えるのをやめた。  理解してからでいい。  様子を見るのだ。  そして日が暮れると人魚が現れた。  美しい尾鰭は、砂浜に上がった瞬間、ふたつに割れて二本の脚になる。  そして、少年の元に駆け寄ってきた。  当たり前のように抱きしめられた。  海藻て縛った魚を渡されたが、火がないので、戸惑う。  要らない、と首をふる。  少年は人魚が持ってきていた人間用の食料を齧る。  人魚は笑って生のまま齧った。  肉食。  そうだ。  人間を喰う生き物なのだ。  少年は身体を強ばらせる。  その様子を心配したかのように人魚は髪を撫でてきた。    「身体はどうだ」  きかれる。  思いやるように。    なんて答えたらいいのかわからなくて少年が固まると、見せてみろ、とあっと言う間にズボンを脱がされ、尻の割開かれた。  そこはまだ痛んで苦しい。    でも、前そうされた時ほど酷くはない。  あんなに酷く扱われた上に巨大な人魚のモノをつっこまれたのに。    じっと見られる視線を感じる。   もっとすごいことをされたんだから、と耐える。  でも、濡れた熱いモノがそこにあたって、悲鳴をあげた。  舐められているのだ。  でも、いたむそこを癒やしているのがわかる。     おそらく、気絶した後もそうされたのだ。  痛みか和らぐ。  そして、そして。  ああっ  やめて  喘いでしまっていた。   変態達にどんなに舐められても、なんとも思わなかったのに。    ピクン  身体が反応してしまう。  痛みとか恐れとか、緊張ではなくて。  それが、癒やしの行為だから。  心が、ほどけてしまっているから。  「人間は濡れないんだな・・・昨夜は酷いことをした。すまない。奴らの種を殺すためだったとはいえ、酷いことをした」  人魚は謝る。  何を言っているのか。  その穴が濡れるわけがないし、大体男が妊娠するわけがない。    でも、労られ癒やされていく行為に、感じてしまう。  熱い舌と唾液には、傷を癒やす効果があるのがわかってしまう。  それより、癒やそうとする気持ちに・・・身体が溶けてしまった。  「人間のモノはずっとでたままなんだな、だから服などというものを着るのか」  人魚は勃ちあがっている部分も舐めた。  愛しげに。  少年は喉をそらして、息を漏らす。  酷く扱われてきたから、そういう行為が嫌いで自慰さえしないのに。  気持ち良かった。  そういえば、人魚が自分を貫くモノはどこにあったのか。  尾鰭にも、ふたつの脚に分かれた時にも、そんなモノはなかったのに。  不思議に思って振り返ると、少年の身体の向きを変えようと立ち上がった人魚の股関にそれはあった。  深い切れ込みが股間にあり、そこからそれは伸びていた。  普段は切れ込みの中に収納されているのだろう。  そのペニスは、人間のモノとはちがって、凶悪な大きさと、コブがあり・・・少年はあれが入っていたのかとゾッとした。  怯える少年に人魚は苦く笑った。  「治るまではしない。でも、出し合おう。お前もツラいだろう?」  勃起したそこをにぎり込まれた。    巨大なペニスと重ね合わせられ、大きな手で擦られた。  喘ぐ。  初めて気持ちよさを知った。  無理に触られても、なんとも思わなかったのに。  酷く扱われ続け、射精も勃起もしなくなっていた。  顔をじっとみつめられる。  そんな風に見つめられたことがなかったから。  赤くなってしまった。  「沢山飛沫の跡がある。可愛いものだな」  微笑まれ、顔にあるソバカスのことを言われているのだとわかる。  そんなモノ気にしたことはなかったけれど。  ますます赤くなった。  「顔の色もかわる。おれたちとは血の色が違うからか?・・・可愛い」  擦られながら、キスされた。  優しいキスと、擦り合わせられる感触に、射精していた。    犯されることはあっても、射精することは久しくなかったから・・・怖くて泣いてしまった。  苦痛の方が慣れていたから。  人魚も精液をそこから吐き出してから、満足そうに笑い、泣いている少年を抱きしめた。  「オレの花嫁。もう泣くな・・・」  耳元の声に震えた。  優しかったから  でも、花嫁。  花嫁って。  思いだす。  人魚は男でもあり、女でもある、と。  あの土地を出るため、港を出入りして、色んな話を聞いていた時に聞いた話だ。    「オレは女じゃない!!花嫁じゃない!!」  そう言うべきではなかった。  勘違いしているからこそ、殺さなかったのだから、生き延びるためには黙って勘違いさせておくべきだった。  でも、何故か、勘違いされたまま、優しくされるのが・・・嫌だったのだ。  「大丈夫だ。オレの親も片方は人間だ。問題ない」  髪を撫でられて囁かれるが、自分が子供を産めないことは間違いなく・・・え、半分は人間?  驚いて人魚を見上げる。  褐色の肌、二つに別れる脚。黒い髪と瞳。  人間の言葉を話す人魚。  「お前がいい。お前がいいんだ。アイツらに酷いことされてるのを見つけた時に、お前なんだってわかったんだ。もっと早くみつけてやれなくて・・・すまない」  人魚はまた優しくキスをしてきた。  「お前が花嫁だ。オレの。身体が治ったらお前にオレの種を沢山注ぐ。そして子供を作って・・・幸せに暮らそう」  人魚は少年に言う。  雌雄同体だからわかっていないのだ。  人間は女しか子供を産めないことを。  とうしても子供をつくりたいなら・・・むしろ・・・。  「オレは挿れる方しか好きじゃない。だからお前が産め」  きっぱり言われたが、いや、そういう問題ではない。    「・・・オレの花嫁。大切にする大切にする」  抱きしめられる。  キスをされる。  そんなことされたことなかったから。  犯される以外で人の体温を感じたことがなかったから。  困り果てた。  人魚は無邪気に笑った。  無邪気すぎて、辛くなった。  傷が癒えたら、毎夜現れる人魚に抱かれた。  優しくはあったけれど容赦はなかった。  無理強いしかされたことのない身体は、優しくされると感じてしまった。  痛みや苦痛からではなく、「もう止めて」と叫ばずにいられなくなることを教えられた。  舌や指でトロトロに蕩けさせられてから、挿れられると快楽で穴が締まるのを知った。  終わることしか考えてなかった穴を穿たれる時間が、時間の感覚さえ飛ぶことも知った。  コブのある性器が奥まで擦るたびに、「もっと、もっと」と強請る自分に驚いた。  「気持ちいいか?」  いたわるようにきかれて、トロンとしたまま、何度も気持ちいいと言った。  奥に出されるのが嬉しかった。  人間のモノとは違って、腹を下すこともなかったし。    しかし、何度「子供は産めない」といっても、人魚が理解しないことには閉口した。  でも。  でも。  ちょっと思った。  産めたらいいな、とは。  きっと人魚はその、子供を愛するだろう。  でも、いつまでもこうしているつもりはなかった。  無人島に一人。  ただ夜来る人魚を待つのは・・・自分の人生ではなかった。    でも、脱出する手段もみつからず。    でも、逃げられない。  逃げられない。  囁かれる。愛してると。  逃げられない。  抱かれる。  逃げられない。  愛している  子供は・・・オレからは産まれないんだ。  あんなに欲しがっているのに。  

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