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♯2 即興曲〝桜隠し〟4
部屋の真ん中にあるのは、グランドピアノ。
その横に鎮座している、天蓋つきのベッド。
ベッドの真上につけたフックから、レースのカーテンが釣り下がっている。
透き通ったカーテンの向こうに、桜也の美しい裸体が見えた。
まるで絵画のようだ。
桜也はおとぎ話のお姫様のように、レースのカーテンの向こうで眠っている。
テーブルの上に雑炊を置いてから、真雪はカーテンの中に飛び込む。
「桜也、桜也、桜也…っ!」
横たわった背中に抱擁し、背骨に沿ってキスをする。
背中に口づけながら、下へ下へと降りていく。
お尻の双丘を割り開き、ぐっと鼻をつっこみ、くんくんと匂いを嗅ぐ。
「ああ…」
桜也の肌からは、ボディーソープの清潔な香りがする。なのに桜也の後孔からは、野獣のような匂いがした。真雪の欲望がしみついた匂いだ。
「ん…はあ…いい匂い…」
穴からとろりと流れ出る白濁液。それは、真雪の肉愛の証だ。
昨夜注ぎ込んだ精液がまだ残っていることに、ひどく興奮した。
この美しい体に触れられるのは、自分だけ。
優越感と多幸感に胸が高鳴った。
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