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♯2 即興曲〝桜隠し〟5

「桜也、桜也…僕だけの桜也…」  我慢できなかった。  真雪は服を脱ぎ捨てて裸になった。  再び後ろから抱きつき、ぬるりと中に挿れる。  さしたる抵抗もなく、そこは真雪を受け入れた。 「……っ、ふあ…!」  挿れた時の振動で、桜也は起きてしまったようだ。  ぐっと背中が反り、悲鳴を上げる。  温かい。桜也の中はすごく温かい。  まるで母の胎内にいるときのように安心する。 「ただいま、桜也。ああ、やっぱり桜也の中は最高だ…!」  あまりの気持ちよさに感動しながら、真雪はゆらゆらと腰を動かす。  あまり激しくは動いていないはずだったが、寝起きの桜也には強い快感だったようだ。 「は、あん、っあ、ふあ…!」  真雪の動きになすすべもなく、がくがくと揺らされる桜也の体。  律儀に快感をひろい、頭をもたげる桜也の性器。  ぎゅっとシーツをにぎった手。  健康的な褐色の肌が汗ばみ、背中がぶるっと震える。 「あ、ああ、い……っ」  ほどなくして、体をのけ反らせて桜也は達する。  桜也の性器から出る液体は、色も薄く、量も少なく、あまり飛ばない。  それでもなお揺らそうとする真雪に、桜也はいやいやと首を振る。 「まゆき、むり…。も、せーえき、出ない…」  桜也は呻くように言う。  まるで子供が駄々をこねているように聞こえ、真雪は思わずほほえんだ。  ああ、かわいい。  桜也のすべてが愛おしい。

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