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♯2 即興曲〝桜隠し〟9

「犯して、真雪。今日は後ろからがいい。ぐちゃぐちゃにして…」  真雪は目を丸くした。  桜也が、性行為に対してこうしてほしいと訴えることなんて、滅多にない。  だが、どうして桜也がそんなことを言い出したのかの理由を考察するよりも、脳内に大量の脳内麻薬が噴出するほうが速かった。  淫らな桜也のセリフが、真雪の脳を沸騰させる。 「ああ…!」  獣のような咆哮をあげ、真雪は立ち上がった。  つながったままベッドへと移動し、うつぶせに倒れ、勢いのままに桜也に襲いかかる。 「桜也、桜也…! ああ、ああ、ああああああ…!」  数回打ちつけただけで、真雪は達してしまう。だが、それでも真雪は止まらない。止められない。 「桜也、桜也あっ!」  真雪の陰部と、桜也の臀部が激しくぶつかりあい、パンッ、パンッと音をたてる。  桜也の中で真雪の精液がかき混ぜられ、結合部に白い泡が噴き出していた。 「…ま、ゆきぃ…、もっと、はげしく、してぇ…」  桜也はさらに煽る。  シーツに顔を埋め、くぐもった声で、そんな甘えるようなことを言う。  優しく乱暴にしたい。包み込むように壊したい。  もう駄目だ。愛欲の暴走が止められない。 「桜也、桜也っ!…うあああっ!」  真雪は吠えた。  なにかに取り憑かれたように、ただひたすらに腰を穿ち続ける。そのスピードは衰えることなく、むしろ徐々に速まっていく。  それはもはや人間の性行為ではなく、獣同士の交尾のようだった。  我を忘れた真雪は、行為の最中、一度も桜也の顔を見ようとはしなかった。

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