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♯3〝チロシナーゼ欠乏症〟3

「あっ、あ…!」  真雪は桜也の嬌声を聞くやいなや、腰を持ち上げ、より奥を穿ち始めた。  体に力の入らない桜也は、されるがままだ。  まるで腸壁が心臓になったかのように、ずくんずくんと疼く。   ぐちゅぐちゅと聞くに堪えない音が、耳までも犯した。 「あう、あ、いいぃ…。ま、ゆきぃ…、もっと、はげしく、してぇ…」  桜也の口からよだれが垂れた。  顔をシーツにこすりつけると、唾液がシーツにシミを作っていく。気持ち良すぎて、口を閉じることすらできない。 「はあ…ん、あ…!」  真雪に激しく攪拌され、結合部が感電したように痺れた。痺れは全身に広がり、脳までも支配していく。   「まゆき、きもちい、きもちいよう…! いく、いくぅっ!」  恥ずかしい言葉を叫びながら、すべてを出し尽くして果てる。それでも真雪の動きは止まらず、激しさは増すばかりだ。  凄まじい快楽に朦朧としながら、桜也は思った。  神様は公平だ。  真雪に嫉妬し、真雪から逃げようとした自分に、きちんと罰を与えたのだから。  神様は公平だ。  真雪にチロシナーゼ欠乏症という病気を与え、日常生活に不自由を強いた代償として、圧倒的なまでのピアノの才能を与えたのだから。

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