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♯4 練習曲〝憧憬〟13

 あわてて真雪はスマートフォンを取り出し、会社名を入力して調べる。 (…あった。新入社員が激務に耐えきれず、自ら死を選んだニュースが)  ニュース記事によると、労働基準局の指導が入り、労働環境は改善されたことになっている。だが桜也の激務の実態を聞いた今、会社側の詭弁にしか思えない。 (だから退職者が多くて、桜也の仕事が増えるばかりなんだ…。このままじゃ、桜也は…)   最悪の事態…桜也が過労死してしまう事…を想像してしまい、心臓が嫌な鼓動を打ち始めた。 (そんな…、そんなの嫌だ、桜也…!)  頭の中にアラートが鳴り響く。  脳みそが焼けるほど熱い。  なのに血が凍り、体は冷えきっていく。  悪寒とめまいで倒れそうだった。 「お客さん、大丈夫ですか? 気分悪いんですか?」  店員から声をかけられるが、真雪は顔を上げることもできなかった。  このままじゃ駄目だ。  桜也を助けださなければ。  桜也が自分の意思で、ブラック企業を辞めるつもりがないのなら。  真雪は見えない敵を睨み、決意した。 (僕が、桜也を守るしかない…!)

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