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♯5 ワルツ〝記念日〟7

 弾力のある真雪の棒が、桜也の口内に入ってくる。  さすがに全部を口に含む気にはなれず、先端だけを咥え、しゃぶってみる。子どもの頃、駄菓子屋にあった、三角形の棒つき飴のように。 「ん…」 (甘い。けど甘すぎないし、牛乳の味が濃厚でおいしい…)  甘さの中に、時折、苦みが混じる。これが真雪の味なのだろうか。  くちゅくちゅと味わっていると、感涙にむせぶ真雪の声がした。 「まさか桜也が僕のをしゃぶってくれる日が来るなんて…! ああ、今日は正真正銘の記念日だ…!」 (記念日?)  いぶかしげな視線を送ると、真雪はうっとりした笑顔で告げた。 「今日はね、桜也がここに来てくれてから、ちょうど一か月の記念日なんだよ」 「………⁉」  桜也は一瞬ほうけてから、あわてて真雪のものから口を離した。

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