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♯6 スケルツォ〝転調〟5

※※※ 「真雪、なんかあった?」  食事をとりながら桜也が問いかけてくるが、真雪はイライラが収まらず、答えられない。    いつものように桜也の中に入れてもらい、料理を食べる桜也を腸内から堪能したいのだが。  つい乱暴にしてしまいそうで、真雪は自重していた。 (くそっ、あのマネージャーのせいだ。 なんでせっかく桜也といるのに、こんなにイライラしなきゃならないんだ。だいたいあいつが、あんな仕事を持ってくるから…) 「…真雪?」  はっと顔をあげると、間近に桜也の顔があった。 「おい、真雪。どうしたんだよ」  自分の名を紡ぐ唇を見ていたら、むらむらと不埒な欲求が湧き上がる。  あの唇を奪いたい、キスしたい…。  あれほど体を貪っておきながら、キスだけはした事がない。だが、キスは精神的な結びつきの強い行為だ。桜也はきっと激しく拒絶する。  桜也の体はともかく、心までも自分のものにできるなんてさすがに思っていない。  ならば、あのカラダをどろどろに溶かして、心ゆくまで堪能したい…。

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