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♯6 スケルツォ〝転調〟13

「まゆ、き、今日はもう無理…、眠…」  とろん、と桜也のまぶたが落ちていく。ほどなくして、すうすうと規則正しい寝息が聞こえてきた。 「中イキって、そんなに体力を消耗するのか…。無理させてごめんね、桜也」  手錠をはずしてやり、自分のものをずるずると抜く。中イキする桜也を夢中で観察しているうちに、思わず吐精してしまったらしい。どろりとした白濁液がまとわりついていた。   「…でも、最高にかわいかったよ、桜也」  桜也の肌に舌を這わせ、体液を味わう。  まるで毛繕いする猫のように。  …ああ、幸せだ。  桜也のそばから離れるなんて選択肢は存在しない。  ヨーロッパ巡行公演なんて、絶対にするものか。  桜也との時間が、なによりも大切だ。  桜也さえいれば、ほかには何もいらない。 「そろそろバスルームできれいにしてあげなきゃ。…でも、もう少しだけ…」  桜也の肌を心ゆくまで味わいながら、耳元でそっとささやく。 「桜也、絶対に離れないからね…」  マネージャーとの(いさか)いなんて、もはや真雪にはどうでもよかった。

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