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♯7 ノクターン〝拒絶〟2

ピッピッピッ…ピビッ。  どうやら正しい数字を入力したらしく、解除の電子音が鳴る。  重々しい金属製のドアが、シュンと音をたてて開いた。 (…解除された!)  コツコツという革靴の音が近づいてくる。  桜也と真雪の楽園に、無遠慮に踏み込む侵入者。  桜也は恐怖で固まってしまい、動けない。  ベッドを囲むレースのカーテンを開けた、一人の男性。  桜也は目を逸らすこともできず、その男性を凝視する。  髪をオールバックにしてメガネをかけた、スーツ姿の男性だ。   目つきが鋭く、冷たい印象を与える。まるで弁護士や検事のようだ。  その男は、桜也を確認して驚きのあまり息を止める。それから顔をしかめてため息をつき、大きな独りごとをつぶやいた。   「…最悪だ。なんだ、この状況は」

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