71 / 164
♯7 ノクターン〝拒絶〟2
ピッピッピッ…ピビッ。
どうやら正しい数字を入力したらしく、解除の電子音が鳴る。
重々しい金属製のドアが、シュンと音をたてて開いた。
(…解除された!)
コツコツという革靴の音が近づいてくる。
桜也と真雪の楽園に、無遠慮に踏み込む侵入者。
桜也は恐怖で固まってしまい、動けない。
ベッドを囲むレースのカーテンを開けた、一人の男性。
桜也は目を逸らすこともできず、その男性を凝視する。
髪をオールバックにしてメガネをかけた、スーツ姿の男性だ。
目つきが鋭く、冷たい印象を与える。まるで弁護士や検事のようだ。
その男は、桜也を確認して驚きのあまり息を止める。それから顔をしかめてため息をつき、大きな独りごとをつぶやいた。
「…最悪だ。なんだ、この状況は」
ともだちにシェアしよう!