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♯7 ノクターン〝拒絶〟3
桜也は焦った。
今、自分は裸だ。無防備にもほどがある。
あわてて周りを見渡す。
この部屋には服がない。掛け布団すらもない。
顔を紅潮させながら、とりあえずまくらで急所を隠す。それから改めて、その男と向かい合った。
「あなたは誰、ですか…?」
震え声で聞いた桜也を見下ろし、その男は冷たく告げる。
「俺は、班目真雪のマネージャー、神田冷一だ。
……君が坂下桜也か?」
「なんで、おれの名前を…」
桜也の問いかけを鼻で笑い、神田は言い募る。
「この部屋の認証付きのドア、暗証番号は121509だった。…なんの番号だか、おまえなら分かるだろ?」
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