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♯7 ノクターン〝拒絶〟8
あてもなくさまよい歩き、桜也は公園にたどり着いた。山の斜面に作られた高台公園だ。
グラウンドや遊具があるエリアを抜け、さらに斜面を上がる。すると、見晴らしがよく開けた場所に、ぽつんとベンチが置かれていた。
ベンチに座ると街が一望できる。まるで展望台にいるみたいだ。
桜也は、遠くの家々の明かりをぼんやりと眺めていた。
空は、群青色とオレンジ色のグラデーション。
濃灰色の雲が、空に模様を作り出す。
さっきまではワーワーと騒ぎながら駆け回る、元気な子どもたちの声が聞こえていた。なのに一人帰り、また一人帰り、と人影がまばらになっていく。
「ねー、今日の晩ごはんはなにー?」
「ともくんの好きなカレーよ」
「やったー!」
母親が男の子の手を引いて帰っていく。子どもたちのいなくなった公園に電灯の明かりがともり、虚しく地面を照らす。
桜也だけが独りだ。桜也を迎えに来る者など、誰もいない。
「…寒い」
夕刻の風の冷たさに鳥肌がたつ。桜也は思わず上着の襟を引き寄せた。
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