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♯8 プレスト〝折檻〟2
桜也が神田マネージャーによって、あの部屋から追い出されていた…そんな大事件が発覚したのは、およそ6時間前。
クラシックCDの収録を終え、レコーディングルームから出た真雪は、異変に気づいた。
神田マネージャーがいない。しかも控室に置いていた真雪のバッグから、家の鍵や大事なノート、スマートフォンなどが勝手に抜き取られている。
胸騒ぎを覚えて大急ぎで家に戻ると、あの部屋は開錠されていた。中にいるのはあの無粋なマネージャ―だけ。桜也はどこにもいない。
(…あいつ、勝手に桜也をこの部屋から出したのか…!)
心の奥底から湧いてくる、激しい怒り。
問答無用でマネージャーに殴りかかり、自分の私物を取り返す。そしてマネージャーの怒号も無視して家を飛び出した。
サンバイザーやサングラスなんてする暇もない。
とにかく桜也を見つけなければ。
「すみません、この人に見覚えはありませんか?」
桜也の写真を手に、ひたすら目撃情報を集める。桜也のかわいすぎる寝顔写真を衆目に晒すのも嫌だったが、この際しかたがない。わずかな目撃情報をたよりに何時間も駆けずり回り、ようやく桜也のもとにたどり着いた。
あと一分、一秒でも遅かったら…と思うと、血が凍りそうになる。
「どうして飛び降りようとしたんだよ…!
せっかく過労死なんてさせないように、あの悪徳企業から引き離したのに。
桜也を絶対に死なせたくないのに。
桜也のいない世界でなんて、僕は生きていけないのに…!」
いろんな感情がないまぜになり、真雪は恥も外聞もなく、ぼろぼろと泣き出した。
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