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♯8 プレスト〝折檻〟11

「ああ、あ、ああ……っ!」  真雪に首を絞めさせながら、桜也は今まで見せたことのない、あふれんばかりの笑顔を見せた。 「いい、いいよぅ、まゆき…、最高にきもちいいよ…」  桜也の目は開かれているが、なにも見ていない。  とろんとした目で、よだれをたらしながら、だらしなく顔を弛緩させる。  まるで麻薬中毒者のように。  草食動物は肉食動物に食われる時、脳から麻薬のような物質が出て、痛みを感じないようにするのだと聞いたことがある。死の恐怖をやわらげるためのしくみは、どんな生き物に備わっているものだ。  今の桜也にも、そういう脳内物質が出ているのだとしたら…。  真雪はぞっとした。  冷たい恐怖が背中を滑り降りていく。 「ああ、いい…、まゆき、もっと、もっと…、もっと!」  桜也はより強く首を圧迫しながら、目を閉じる。  納棺を連想させる、生気のないおだやかな顔で。   「……っ、ダメだっ!」  桜也の手をふりはらうと、桜也の性器につけたひもを取り除き、桜也のものをごしごしと擦る。一刻も早く、この地獄のような時間を終わらせるために。 「っあ、ああ、ああああ――っ!」  叫びながら桜也は達する。  手の指や足の指までも開ききり、体を痙攣させながら、ぴゅっぴゅっと勢いよく精液を吐き出す。出しきってしまったところでがくんと脱力し、動かなくなった。

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