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♯12〝子犬のワルツ〟9
「ああ、あああ…、いく、いくう…っ」
桜也のものが下から膨張していく。尿道を精液が駆け上がっていくのと同時に、血管がびきびきと浮き上がる。最後に亀頭が膨らみ、きゅっと収縮し、鈴口から熱い液体が噴き出した。
桜也の射精シーンを、こんなにまじまじと観察できるなんて。
こういうのを眼福というのだろう。
ひきつったような声をあげ、何度も体液を噴射させる。気持ちよさそうに弛緩した顔は、だんだんと困ったような、自らを恥じるような顔になっていった。
「まゆき、…きもちよく、なかった…?」
質問の意味が分からず、一瞬困惑してから。
真雪は大笑いしそうになった。
桜也は射精したが、真雪はしていない。
もしかして動きが下手すぎて、真雪に気持ちよさを与えられなかったんじゃないか。観客のいないピエロみたいに、一人だけ盛り上がってしまったんじゃないか。桜也はそう心配をしてるのか。
そんな余計な心配、しなくていいのに。
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