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 それ以外の疑問も諸々。  リウ曰く、ヲタルック+人類皆友達思考+自己中心的な正義感などなど、あいつ実は王道のこと嫌いなんじゃないかと勘ぐるほどマイナス方面ばかりが特徴らしい転入生。  そういう性格の人間が都合良くこの学園に入学し、かつ総受けとやらに……なるものですかね? 『王道通りの副会長は、嘘の笑顔見破られた後本人に直接「気に入りました」って自己申告するから、リオもテンプレ通りに……うわ、リオが馬鹿正直に相手に自己申告とか……っ、やっぱ直に観察しちゃダメ!?』 「ダメに決まってんだろ」  用意周到な幼なじみのことだ、校門付近にも何か良からぬものを設置しているに違いない。  直に観察しない代わりに観察セット(監視カメラ・盗聴器・望遠鏡・エトセトラ)は没収しないという交換条件を口約上飲んではいる。あくまで口約上では。  不審なものを見つけ次第、即刻、生徒指導の先生に提出してやる所存。 『まぁとにかく、食堂イベントまで持っていければ多少のイレギュラーは気にしなくていいよ。……あ、リオは転入生にキスする派? しない派? 同じ王道でもパターンがあるからほんと迷うんだよね。僕個人の好みを言わせてもらえば、やっぱり最初は俺様生徒会長様が……』  ーブチッ!  聞くに耐えなくて、つか面倒になって通話を切った。その後リウの番号に着信拒否設定を施し、目指すは生徒会棟二階・生徒会室。  理事長室から生徒会室は少しばかり遠い。そもそも、学園自体が広すぎる。まだまだ足を踏み入れたことがない場所も多く、庶民な俺には一年の頃慣れるまでが大変だった。  だって普通じゃないもの。  着る制服、使う机、歩く床、話す人間すべてが別次元というか、金のにおいがするというか。あの幼なじみは王道学園にいるという興奮でアウトオブ眼中だったけど。  まあ、リウのことなんざ置いといて。  そろそろ目的地が近い。表情も雰囲気も、『副会長』へと切り替える。  リウ曰く────王道学園の王道副会長といえば、腹黒・作り笑い・敬語。  元より入学した段階で、周りへの予防線を張る目的として敬語キャラを徹底していたせいか、王道副会長の基本スペックもすんなり受け入れられた俺。  入学して一年と少し。今更崩すわけにもいかない。  この偽りの外面をずっと続けているのも、別に腐男子を喜ばせるためのキャラ付けではなく、自分の身を守るため。  というのも、俺の中性的な外見は、この学園では少々問題なのだ。  美人な母親の遺伝子を色濃く受け継いだおかげで、昔から容姿を褒められることは多かった。  ですから中学生時代(共学校)はそりゃあもういい思いをさせていただきました。バレンタインなんかの行事で悔し涙を飲むことはありませんでしたよはい。  今思えば幸せな日々でしたよほんと……。  そんな容姿が災いしまして。  何故か、ここの学園の生徒にソウイウ対象として見られやすいようで。  しかも何故か去年の暮れに、抱きたいランキング一位という不名誉な結果を叩き出してしまいまして。  うわ処女喪失とかマジ勘弁、という生理的本能が働いた俺は、どうすればできる限り悪目立ちせず(副会長の時点で目立つことは避けられないが)学園生活を送れるか考えた結果───『腹黒副会長』を演じることにしたのだ。  といっても腹黒なのは自他共に認める本来の性格だから演じるというほどでもない。敬語も、学園に入って以降癖みたいなものだ。  腹黒副会長を演じる上で身につけたものは、『作り笑い』。  表情を偽り、他人との間に一枚別の自分を置けば、必要以上に踏み込まれることも、逆に自ら踏み込むこともない。  そうやって荒波立てることなく、平和に、高校生活を終えられたらいいなと。  絶賛思春期男子にして、枯れた目標を抱いている次第であります。    

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