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 嘆かわしいことに、この男が俺の上司の立場であり、ランキング的にいえばパートナーにあたる相手である。非常に嘆かわしいことに。  彼は、月城学園生徒会・生徒会会長、神宮奏(じんぐうーかなで)。  学園で一番支持が高く人気があり、ルックス・成績・家柄すべてにおいて学園最上位に位置づけられる、頂点の中の頂点である。  艶のある濡れ羽色の髪と、意思の強い瞳は深い海のような瑠璃色。色に関してはカラコンらしい。  一個上の先輩で、抱かれたいランキング一位、俺の《光》と相対する名前として別名・《闇豹》様。  だがしかし、性格に難がある。性癖にも難がある。  性欲無尽蔵、セフレは星の数、泣かせた男女は数知れず。教育によくない要素が個体化したような人だ。 「はあ、怠ィ」 「ほら、しゃきっとして下さいよ。着替えて……」 「それよりシャワー浴びてくる。一緒に入るか?」 「結っっ構です」 「かっわいくねえな。少しは乗れよ。誰のせいで萎えたと思ってんだ」 「と、とにかく! 部屋の外で待ってますからね。逃がしませんからね」  宣言どおり会長が部屋から出てくるまで待機し、シャワーを浴びてちゃんと制服を着た会長を連行。仕事場に戻ると、こちらに向いた八つの瞳。どうやら例の親衛隊の子はとっくに出ていったようだ。珍しくもないので、室内には特に動揺もない。  さて、理事長に指定された時間まで余裕はない。それぞれの席へと座るようにと促し、さっそく話を切り出した。 「先ほどお伝えした通り、理事長の甥が、今日、この学園に転入されるとのことです」 「へえ」 「「急すぎ~~」」 「そんなはなし、一度も、出てなかった、のに……」  な。事後報告にも程がある。  理事長の身内だから細かい手続きとかはもう済ませてそうだけど、学園で理事の次に権力を有する生徒会にさえ来校当日ぎりぎりまで内密にするあたり、何らかの意図を疑ってしまう。  よほど隠したい事情があるのか、でも、単なるサプライズの可能性も捨てきれない。理事長もちょっと変わったとこあっからなあ。 「理事の甥ってことは………カッコいい系? それとも可愛い系ー?」 「ハッ、可愛いに決まってんだろ」 「あなたの希望など聞いていません」  しかし暢気なのか余裕なのか、役員の話題はすぐに転入生の容姿の想像へとシフトチェンジ。  特にバ会計とバ会長という、主にネコ漁りを趣味とするバイ連中が興味深々のようで。お眼鏡にかなえば今日にも転入生はアーッ! かもしれない。 「諸々の書面は理事長から預かっていますが、写真等は同封されていなかったので容姿の程は分かりません。バ会長、一通り目を通して捺印していただけますか」 「……何度言ったらバ会長呼びを改め……、……満点?」  写真がないのは容姿を隠すための理事長の計らいかなー、なんて推論はさておき。  

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