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公開食堂イベント 1

 理事長室へと王道を送り届けたその足で再び生徒会室へと足を運べば、未だ居座る役員たち。待ち構えていた双子に転入生の容姿についてさっそく尋ねられたので、 『一目見れば分かります。……まあ、悪い子ではないですよ』  と、ありきたりな返答で躱しておいた。  双子は興味心身。  チャラ男は俺の返答が濁したものだとわかったのか、どこか探るような笑顔。  俺様もどうやら若干お気に召さなかった様子。  わんこは日向で昼寝。  個性豊かな役員に「あとはお好きに」と言い切って、俺は颯爽と教室へ向かう。  何せ学生の本文は学業である。  この学園は生徒会と風紀委員会、ふたつの学園組織が異常な権力を持つ。故に、任される仕事の量や責任の重さも普通校のソレとは比べものにならない。  という事情もあって、生徒会役員と風紀の一部には授業免除という特権が与えられている。  ただ、一庶民からしてはどうも特別扱いには慣れないし、特待生なだけあって俺はちゃんと授業に出席してるのだ。  ……なーんて、それらしい理由付けてみたけど正直に言えば、あの転入生について根掘り葉掘り問う役員共がウザかったから、授業受けにいくフリして教室に逃げようかな、と。  それもまあ仕方ない、俺の心身状態は現在あまり宜しくないのでございやす。  だってもう………あの転入生、想像以上にわけわかめちゃんだった。  理事長室まで案内するあいだの、あの質問攻めとメガホンボイス。うるせえししつけえ。おかげでぐったり。  幸いなことに、あの転入生は一学年。タメじゃなかったことがせめてもの救いだ。あれとクラスまで一緒となると、正直忍耐を問われる。  

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