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 マツリの認識もまあ大きく間違ってはいないんだけども、何というか先輩の場合、逆らえないというより、自ら従いたいって人間が周りに集ってるイメージなので………一概にカワイソーってわけではないと、思う。うん。  ランキングだけを取り上げればこの人は会長に続いての二位だが、それは恐らく誤差の範囲。親衛隊の数や家格による権限もほぼ同等、ほかの追随を許さない学園でダントツのツートップ。  だから彼の影響力は学園でも絶大で、従いたい人間はそれこそごまんといる。まあ、周囲からの評価を気にする人間じゃないことは、知ってるけど。 「今日はえらく噛み付いてくるな。何が気に食わない?」 「それこそ委員長には関係ないよね?」  それより、いちいち突っかかるマツリの思惑の方が判然としない。こういう面倒事はいつもならシャラッと躱すタイプなのに。  嫌いな風紀が、王道を邪険に扱ってることが気に入らねえのか?  それにしたって、ここまであからさまな態度を取ることないのに。この先輩に楯突いたところで百害あって一利なしですぞ。  双子に目配せを送る。  先輩はこっちが何とかするから、マツリは頼む。 「マーツ、ストップー」 「一旦落ち着いてー」 「「早く生徒会室、行こ……?」」  よしよし、肝心なときに空気が読めるとは素晴らしい。後でおじいちゃんの芋けんぴをやろう。  俺に目配せを返す双子に向け、了承の意味を込めて一度頷く。ここはまだ一般生徒の目が届く場所、生徒会と風紀のにらめっこなんてするもんじゃない。  双子はマツリをどうどうと宥める。  マツリのブラウスの袖を両サイドから交互にクイクイする双子、という微笑ましい光景さえ眼中にない志紀本先輩は、マツリへと数歩近付きその唇を彼の耳元へ寄せた。双子がぴゃっと飛び退く。  ……リウが喜びそうな構図だな、と思った俺、つかれてるな。二重の意味で。 「---…」  それが何かを紡いだ瞬間、マツリの端正な顔が歯噛みするように歪んだ。  俺個人の感想を言えば、お前そんな顔も出来たのか、と。  なんだろ。生徒会や風紀という立場とは関与しないところで、個人的に、何か蟠りでもあるのだろうか。 「ああ、そう……。じゃあまたね、リオちゃん。行こっか、双子」 「あ、はい。ではまた」  先輩から距離を取った後、双子に緩い笑みを浮かべ声を掛ける様子はいつもどおりのマツリだった。反射的に挨拶を返す。  俺の視界の端にいる膨れっ面一名のフォローに関しては、もう三人に丸投げでもいいだろうか。俺知ーらないっと。  

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