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まあ、そもそもの原因は会長、といっても、事態はそこまで単純ではないのだが。
事の発端は会長が王道に食堂イベントでちょっかいをかけたことだが、だからって制裁に走る親衛隊は異常だし、金か身体目的かは知らないが制裁に加担するこいつらも純然なる戦犯で、諸悪の根元はそれらを可能とするこの閉鎖的な環境にある。
だからこそ、トップの会長がここ一週間行方知れずの状態はだいぶ負担が大きかった。
それだけの影響力を有するのだから、会長が本気で親衛隊をコントロールしようと思えばできないはずもないのに、どうしてしようとしないんだろう。
理解に苦しむというか、歯痒い。
上に立って然るべき人間が、どうしてこの現状を見て見ぬふりできるんだ。
「……壱河がここに来た時点でお前が来る可能性に気付くべきだった」
「あなたって反省しないんですか??」
「あいつはお前の差し金か?」
「堂々たる話題転換がいっそ清々しいですが、その手には乗りませんよ?」
差し金なんてそんな、まるで俺が紘野くんを従えてるみたいな認識は誤解もいいとこ。実際のパワーバランスは歴然としているぞ。あいつ俺のこと世話係りだと思ってる節あるし。
ときどき、紘野やリウを俺が駒としていいようにコキ使ってる、と考える馬鹿も居るわけだが、そう見えるなら大変不本意である。
こちとらこの環境のせいでマトモな友人枠が限りなく狭いんだ。
「話を逸らしたって無駄ですからね。何をやっているのですか、あなたは。しかもこんな目立つところを殴るなんて。あなたまで過剰防衛だと捉えられかねないですよ」
「殴ってない。蹴った」
「うるさいどうでもいい」
「ハッ、先に手を出したのはコイツらの方だ。カメラにも上手く録らせてるし、正当防衛は立証できる。それよりお前こそ他人の怪我の心配なんざ珍しい。何企んでんだ」
「あなたが起こした問題の後処理はいつも誰に回ってくると思っているんですか。こちらに余計な手間を取らせないでいただきたいと申し上げているんです」
「………チッ」
事実を述べただけなのに横着なこの態度。
もう怒った。俺は怒る。
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