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 どうやら一番予想を外していたらしいマツリが給湯室へと席を立つ。  あいつはけっこう手先も器用だしものによっては凝るから、美味しいアイスティーを淹れてくれることだろう。  新歓用の必要書類も粗方整ったし、俺もそろそろ休憩にしようかな。  マツリが全員分の飲み物をティータイムワゴンに乗せて運んできたところで、革張りのソファへと移動する。  L字型の短い辺にすでに腰かけるタツキの横へ。続いて、向かいに双子、すぐ隣にマツリが座ったのを視界の隅にとらえながら、御一人様用のソファーに偉そうに座る会長を見やった。  皆の注目が集まるのを待って、会長が勿体ぶるように薄い唇を開く。 「来月末、また招集をかける」  その一言で、双子は口を揃えて意気込み、マツリも「わかったー」なんて楽天的な口振りながらもちょっと楽しそうだ。  一方、タツキは目に見えて表情を険しくする。  俺はというと居心地が悪い。そもそも。 「……暴走族(チーム)の召集の話でしたら、タツキや私に聞かせる必要があったのですか。もう、抜けたハズですが」  実のところ、タツキはチームの一員じゃない。  といってもまったくの無関係でもない。たまにひょっこり顔を出して、仲間のピンチに助太刀に馳せ参じるような、なんというか、仲間思いのタツキらしい立ち位置にいる。  ただ、俺の場合はもうすでに完全なる部外者だ。  俺がチームを抜けたのは3月も末のこと。  抜けた理由といっても大したことはない、単純に、自分に喧嘩は合わないと思ったからだ。  不得手ではないが、好きじゃない。  最初はこれも経験かと考えて幹部に留まっていたのだが、折を見て「服が汚れるので抜けます」と朗らかに笑って抜けてきた。  そのときバ会長(というか総長)も「お前ならそういうと思った」と爽やかに送り出してくれた覚えがあるんですけどね?  あの日の笑顔は嘘だったんですか? 「今回の召集は正確にはチームの問題じゃねえからな。つまりお前にも関係がある」 「チームの問題ではないのに、チームで解決すると?」 「ああ。どういうことだと思う?」  押し黙った俺達二年へ、会長が謎かけを振る。チーム外の問題を、チームで解決する意図。それはつまり……。 「……学園関係者が率いるチームに喧嘩を売られでもしたの?」 「まあ、そうだな、半分は正解だ。正しくは、学園の生徒ではないが、学園の生徒と深い関わりがあるヤツ等による、私怨」  物騒な話だ。  さっきまで和気藹々としていた空気はどうした。  

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