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 そして明々後日。  今朝、号外と銘打った新聞が各掲示板に掲載された。  在学する生徒だけが閲覧できる学園HPにも歓迎祭のことがピックアップされ、昼時には学生ホールや食堂の大画面でイベントについての詳細が映像で流れるらしい。  短期間でここまで手配してくれるあたり、さすがお祭り大好きな広報委員会。いい働きをしてくれた。  掲示板に記載されているのは、歓迎祭の場所と内容、日時その他、そして今日のSHRでの籤引きと放課後のペア割発表について。  もちろん絶叫系などのアトラクションは生徒によって得意不得意もあるので、応じて籤の種類も変えるらしい。  ほら、絶叫系が好きな生徒と苦手な生徒がペアだと純粋に楽しめないだろうし。 「わあ、ここの遊園地の新アトラクション、今度行ってみたかったんだよね~!」 「あ、明後日……!? 急だな……今夜にも準備しておかないと……」 「ペアは籤だけど、施設内ではグループ行動もオッケーなんだって。一緒に回ろーな!」 「定番の鬼ごっこじゃないの……まじかよん……」  突然の発表にも関わらず喜ぶ生徒が多かったことには安心した。ご令息様方ばかりといえど、このあたりの感覚は普通の高校生と変わらないのかもしれない。  そして掲示板を見上げる人垣から少し離れた場所、呆然とした表情で佇立する男子生徒がひとり。  とっても心配になった優しい俺は、いつも以上に穏やかなトーンで相手に話し掛ける。 「おはようございます。どうしたのですか、リウ。まるで機密情報をこそこそと嗅ぎ回っていたのに結局は無駄な努力に終わり、大衆と同じタイミングで情報を知らされた思い上がりの諜報員みたいな顔して」 「どんな顔」 「そんな顔」  こちらをばっと振り返り、わなわな震えながら縋るように俺を見上げる腐男子の姿。  俺は鼻で笑う代わりににっこりといつもより三割増しで微笑う。  その笑顔だけで周りの生徒は変な勘違いをする。普段幼なじみとの噂なんぞ鳥肌でしかない俺だけれど今は気分が大変宜しいので、サービス全開である。  リウは潜めても伝わる悲壮感を声に乗せて、途方に暮れた顔で数センチ下から俺を見上げた。 「どうして……どうしてもっと早く教えてくれなかったの……!」  当たり前だろ誰が言うか。  今回無理なタイムスケジュールと知ってて公表したのも、表向きはサプライズと言っているが、親衛隊及びこういう輩に準備の時間を与えないためだ。  なんの準備って、あれだよ。  王道を集団で襲う親衛隊と、それを助ける攻めを観察する腐男子という魔の布陣。  こういう企画で徒党を組むヤツらを減らし、この腐男子がイロイロと画策する日数を削るために。  

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