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先週からずっと準備に奔走していた俺を一番満足させたのは、今この瞬間、幼なじみのショックを受けた顔だ。なにこの達成感??
網膜にしっかりと焼き付ける。
悔しかろう、何の準備もできず、目の前に萌えイベントがあるのにいつ萌えが発生するか分からないもどかしさは。そして俺に出し抜かれた屈辱は。
常に用意周到なこいつからすれば地団駄を踏みたいレベルだろう。ねえ今どんな気持ち?
内心笑いながらも勿論顔には出さない。
ちょっと腰を曲げてリウと目線を合わせ、それはもう俺に出来る最大級の優しい表情で笑いかける。
「何故早く教えなかったのか、ですか? そうですね、遊園施設を好むあなたへのちょっとしたプレゼントのつもりだったのですが…………お気に、召されなかったのでしょうか……」
どこからか聴こえた「《光の君》お優しい…!」の声。もっと言って。
その都度こいつの機嫌は急降下。
「遊園地ではしゃぐ白薔薇ちゃん……ふぅ」という声も聞こえなくなるほど、今こいつは自制心の総動員に必死だ。
「、……まっさかあ。とっても嬉しいよ、リオ。僕は君みたいな優しいトモダチを持ててとってもシアワセダナー」
俺達の友情()に周りが和んでいる間に、連れ立って教室へ歩き出す。
周りに人がいなくなった途端化けの皮を剥がしたリウは思いっきり顔を歪めた。ほら《白薔薇》サマ、笑顔笑顔!
「僕としたことが……最悪だ」
「いいじゃねえか、たまにはそういうの一切ナシで遊ぶのも。お前もここの遊園地、行ってみたいって言ってたろ」
それほど有名な、日本でも人気ランキングトップ10に入るレジャー施設の、社長と副社長が実は学園OBという情報はここでは伏せておこう。
この学園の特異な性質を向こう側が理解していることもあり、色々融通がきくことも。
「まさか、本当に僕を喜ばせるため……?」
「当たり前だろマイフレンド……」
「白々しいよ。あーあ、最悪。ただでさえ最近ごたごたしてたのに……趣味までリオに奪われるなんて……」
「何ごたごたって。お前また親衛隊同士の仲裁にでも呼ばれたのか?」
「アタリ。もー、なんでこんなか弱い僕があんな子リスの引っ掻き合いみたいな乱闘を止めないといけないわけ??」
「黙れ黒帯」
カワイイ系の引っ掻き合いとかちょっと見てみたいと思ったのは置いといて。
こいつが忙しいタイミングで企画を進められてよかった。それもこれも情報非公開網を敷いてくれた志紀本先輩のおかげだ。
そうこうしているうちに教室へ到着。
こんな早くに隣の不良が着席しているはずもないので、メッセージアプリで今日は来るようにと一言送っておく。
多分言っておかないと、放課後の発表も不在の可能性あるし。
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