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歓迎祭一日目 1

 イン新幹線。  学園を卒業したらおそらくもう一生乗ることはないだろう最高級車両に、恐れおののく庶民の声をあげなかった数時間前の俺の理性を誰か心行くまで誉めてほしい。  なんだかんだと日は過ぎて、土曜日。歓迎祭一日目、午前7時過ぎ。現在移動中。  なんでも、生徒会には専用の個室が用意されていたらしく、ただいま生徒会メンツといるわけですが。 「まーた会長が大貧民かー」 「……かなで……弱……」 「……うるせえな。ルールがイマイチわかんねんだよ」  到着まで暇だと、何か手遊びはないのかと宣うバ会長の要求に応えたのはマツリだ。持参らしいトランプを取り出し、「じゃあこれで遊ぶー?」なんて言いながら器用に切っていく。  まあ、世間知らず、というかこういう庶民の遊びを知らなかったらしいご令息様は、頭脳戦にも関わらず珍しくことごとく敗北を喫している。 「かいちょー、だから、ジョーカーは切り札なんだってば」 「いい加減ルール覚えなよ」 「うるせえソラウミ。……いつもと勝手が違うから慣れねえな…」  じゃあ何か。いつもはカードあるいは最上級の額からしか出さないから、感覚が掴めないってか。  ちなみに会長が強カードを初っ端から出したのはこれで3回目だ。引きがいいにもほどがある。 「つーかテメェら二人、絶対組んでるだろ。そんなに俺様を貧乏人にして楽しいか」 「勝負事に言い掛かりつけられても」 「何のことかわっかんないなー」  いや、だってな?  学園屈指どころか世界に名だたるの御曹司サマが、「また俺は貧民か」とか、物珍しそうに言うんですぜ。いやいや、俺じゃなくともこう、イラッとですね? 来ますよね?  あ、現在トランプの大貧民、地域によっては大富豪と呼ばれるゲームを生徒会6人で開催しておりまして。  こういう勝負事に強い俺と頭の回転がはやいマツリの無言の意志疎通により、現在共謀して会長を徹底的に潰しています。  

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