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土日祝日休校日でも通常営業な食堂には、早起きな生徒がちらほら。今日は無人だろうと予想してたのに、どうして寮の食堂を使わないんだろう。
普段より慎ましやかながらも各所から挙がる歓声に迎えられて、そそくさと二階へ……行こうとしたけれど。
「……篠崎くん?」
「っ、ぴゃ」
「ああ、やっぱり、おはようございます」
「……副、あ、いや、光様! おは、お早う御座います本日はお日柄も宜しく! 朝から大変麗しく!」
「はい、とてもいい天気ですね。ご相席しても宜しいでしょうか」
「えっ? マジで? 何がどうして? え??」
「……ご迷惑でした?」
「いいえまったく! ………しまった!」
一階の隅で朝食をとっていたのは、歓迎祭一日目で知り合った一年生腐男子・篠崎くんだった。
彼はついさっきまで、食堂の生徒を危ない目で観察していた(行事前後はリア充の繁殖期)。食堂にはこれからデート()にでも行くのか、何組かのホモ充が人目も憚らずリア充アピールしている。
自分の恋愛に夢中な彼らだからか、生徒会役員が一般生徒と同席していることをさほど気に留めていないようだ。
そうじゃなかったら一般生徒と相席なんて軽はずみな行動は取らないけども。
日替わりモーニングセットを注文し、先ほどから落ち着かない様子でお手拭きをたたんでいる篠崎くんに話しかけてみる。
「食堂で会うのも新鮮ですね」
「僕の目の前にあなた様がいること自体が新鮮です」
「本日のご予定は? 何故こちらの食堂まで?」
「人間かん、……図書館で勉強でもしようかと。今週末テストですし」
「勤勉ですね」
「いいいえいえそんなことは。ここのテスト、初めて受けるから、不安で」
ああ、なるほど。こっちの食堂にも人がいるのは、テスト前だからか。休日といっても校舎は開放されてるし、よく見れば篠崎くんの横には学生鞄が置いてある。
彼は学園内でも数少ない、外部生でSクラスだ。
俺も去年は不安だったなあ、懐かしい。
ちょっと、アドバイスという名のお節介でもしておこう。
中間考査の内容は基礎科目5教科。
一年生なら現古文、地歴、数Ⅰ、理科総合、外国語科目だ。
「苦手分野はございますか」
「どれもまあ、苦手というわけではですけど……先生からテスト形式をまだ教えられてなくて」
1-Sの担任はあのホスト教師だったな。
教師にあるまじき懈怠だ。それとも王道オとすことで手一杯ってか? 滅べ、それか減給されろ。
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