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ここの期末考査はもう、控えめに言って地獄だ。学生の本分は学業だと痛感させられる。
新歓直後の週末に考査という鬼スケジュールがさらに地獄を地獄たらしめている。
「一科目につき90分、5教科を金曜日の一日ですべて消化します。問題量が多く、範囲も広いです」
「……え、90分? 長くないですか? 腹鳴りますよ?」
「期末だと科目がこれの4倍です」
「おぅふ」
日頃の50分授業に慣れていると、配分でミスが出る。俺も最初は問題量にびっくりした。教師によっては癖が強いし、点を取らせようという意思を感じられない。
特に理科は満点を取れる気がしないので、俺が点を稼ぐのは専ら語学系と暗記科目だ。
「一年生の数学担当。彼がつくる問題には応用が多いので、公式を叩き込んで後はひたすら解く練習を。重要なのはスピードです」
「はい」
「それから、歴史担当のあの老いぼれはやたら年号が好きです」
「……はい」
「あと、理科担当はどの分野も本当に大人げない。到底解けない問題も紛れていますので、分からないものは時間をかけず切り捨てて下さい」
「……うぇ。……ハイ」
というのも、どこぞの三年生約二名が考査で満点ばかりを叩き出すせいで教師陣の負けず嫌いに火が付いたらしい。
それに伴い全学年でテストの難易度がはね上がったとのこと。まったくもっていい迷惑だ。
「お待たせいたしました」
お。来た。
イケメンウェイターさんからの爽やかウィンクに小さく礼を返し、運ばれてきた定食に箸をつける。
メインは季節感を意識した生春巻きと七草のお浸し、さらに筍ご飯と蜊の味噌汁、出汁巻き玉子。
そしてデザートはフルーツヨーグルト。
それぞれが上品な器の中にこれまた上品に盛られている。配置も彩りも、勿論味や栄養バランスも一級品。
朝はあまり入らないので全部小盛りだ。
「いただきます」
味噌汁や副菜をお供に、炊きたてのようにふっくらと柔らかいご飯を頬張る。うまい……。
やっぱ朝は和食だな。
忙しい朝は簡単にトーストとかで済ませがちだけど、日本人のエネルギーはやっぱり米だわ米。
噛めば噛むほどじゅわりと出汁があふれる艶々のだし巻き卵をごはんと共にくちに含み、味噌汁で流し込む。いいお味噌を使ってますなあ。
デザートまで綺麗に食べきって、御馳走でしたと手を合わせる。マナー大事。
さて、席を立つ前に。
俺が食事の最中、頻りに俺をちらちら見ていた篠崎くんに再び向き直った。
「そういえば、佐々部さんの一件ですが」
「……はっ、ハイ」
そうそう、これを言うために、わざわざ相席をお願いしたのだ。
介入も特別扱いもするつもりはないが、内情を知った以上伝えておきたいことがある。
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