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◇図書委員の声 「退屈だね」 「クラン、サボるな」 「何故ボクが働かなければならないんだろう。図書委員長になったらこのような煩雑な業務から解放されると思ってたのに」 「……サボりたいがためになった、とか言わねえよな?」 「ん? そう聞こえなかったのかい?」 「テメッ、」 「まったく、君はいつもいつも散歩中のボクを捜し出すのが上手いよねぇ。困ったものだよ。よっ! ストーカー!」 「だれがっ、」 「ああ、退屈だ」 「……はぁ」 「とっても退屈だよ」 「……」 「あーあー、た」 「黙って手ェ動かせ」 「ねぇ、彼は? 一年生の貞男くん居ない? 久々にお話したいな、退屈しのぎに」 「サダオ?」 「ほら、話題の転入生だよ。ああいうの、ジャパニーズ・ホラーと言うんだろ?」 「ああ……佐久間のことか。あんなうるせェのが来たってこっちが迷惑だ」 「そこが面白いんじゃないか! どうしてあんなにも周りの迷惑を考えないんだろう!? この学園にもそういう人はいるけれど、貞男くんは飛び抜けてうるさいよね! すごく興味深いよ!」 「テメェは人のこと言えた立場か」 「それにしても、今日はいつもより利用者が多いみたいだけど」 「風紀委員長が来てたって話だからな」 「えーー、ナツメが? どこ?」 「もうとっくに帰ってるだろ」 「それは惜しいことしたな、話し相手にでもなってくれたら良かったのに」 「生徒会副会長と連れ立って歩いてるところを何人か見たそうだ。テメェよりもあっちと喋る方を優先したんだろ」 「君はいつそんな情報を仕入れたの?」 「テメェが暇潰しに本を読んでる間、噂になってたぞ。聞こえてなかったのか?」 「ボクって夢中になるとのめり込むからなぁ。……そうか、副会長くんかあ。なるほどね」 「ここに来たってだけで話題に上がんだから、人気者ってのも大変だな」 「それもひとつの仕事みたいなものさ。でも、ますます惜しいことをしちゃった気分だな。そういえば、去年から随分と目をかけてたっけ」 「俺が知るか」 「ナツメも薄情だよね。ボク、副会長とは顔見知り程度だから仲良くなりたいなって常々アピールしてるのに、ことごとく無視するんだ」 「誰だって知り合いだと思われたくねえよ。テメェみたいな気疲れする相手」 「ボクにも親しい後輩が欲しいなぁ……」 「まずは手を動かしてから物を言え」 「ケチだよなぁ。お気に入りの後輩とやらを紹介してくれたっていいのに。絶対、ボクに会わせたくなくてボクの居ぬ間に図書館(ここ)から避難させたに決まってる」 「お気に入りか……? 風紀委員長って特定個人を特別扱いする性格でもないだろ。むしろ、玩具で遊んでるようにも見えっけど」 「玩具ごときが、彼のテリトリーに入れるわけないじゃないか。下手につついたらこちらが痛手を負いそうで、ひやひやしちゃうよ」 【図書委員会】……  一クラス一名ずつ。普段部活で忙しい人、目立ちたくない人が集まる委員会。カウンター業務や本の整理などが主な仕事。規則や秩序が特にないだらだらゆるゆる無法地帯。  好奇心旺盛な図書委員長は欧州出身の留学生。  

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