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「神宮をはじめ生徒会の人間や目立つ生徒がことごとくあの一年生に興味を持つ故、我も少しばかり絡んでみようと思いたったのだが」
「……それで、感想は?」
「正直、惹かれる理由がわからぬ。お主はどこに惹かれたのだ?」
「むざむざ教えるわけがないでしょう?」
「うむ、それもそうだのう」
うーん、不安だな……。
偶然ではなく故意に、ちょっとした興味本位で王道に関わろうとした二葉先輩の行動は、少々厄介だ。
変わり者の印象を周囲に持たれているにせよ、この先輩は目立つ。
何せ『役職持ち』兼抱かれたいランキング10位以内の人気筆頭、特に興味を引かれなかったのであれば、王道にちょっかいをかけるのはほどほどにしていただきたい。
「あまり苛めないであげて下さいね。ただでさえルイは転入したてで、まだ学園生活に慣れていないでしょうから」
「ふむ、親身なのだな。それほど気に入っておるのか、例の転入生を」
「ええ、まあ……」
「───それとも、昨年のお主自身を見ているようで、放っておけない?」
ピタ、と動きを止める。
二葉先輩はにっこりと人好きする顔で笑っているだけだ。
探られているな、と直感で理解する。
俺が王道に向けていると周囲に思わせている「好意」の、朧気な全体像を掴もうと。
志紀本先輩に暴かれた時と同じく、俺の演技に疑惑を向けているのか……それともこれも、ただの興味本位から来る問いかけ?
恐らく後者、であってほしい。
志紀本先輩はまあ仕方ないにしても、さすがに交流が浅い二葉先輩にまで疑われるようなボロは出していないはずなので。
あまり深く掘り下げられるのも危険な話題だが、無理やり会話を打ち切れる雰囲気でもない。
特に軌道修正はせず、話に乗っかることにした。
「……ルイの現状は、昨年の私より深刻でしょう。私は物珍しい外部生だからちょっと注目を集めた程度ですが、今回の場合はあまりにも、過激すぎます」
昨年の俺もまあ生徒の注目を集めたと言えば否定はしないけれど、それは外部生で主席入学という前評判が原因の大部分を占めているせいもあって。
有名どころと絡んだことで親衛隊その他からのやっかみも皆無ではなかったが、当時風紀の二人と懇意にしていた影響のおかげか、派手な制裁や陰湿な虐めはさほどなかった。
しかし王道ときたら有名どころと絡むに飽きたらず無自覚で籠絡までするものだから、この一ヶ月で果たして何件制裁未遂が起こったことか。
ここまで集中的かつ急速なのは異例だ。異常と言っても差し支えはない。
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