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 まんまるとしたアイスブルーの二つの眼。白と薄い灰色系統の体毛。  真っ白な腹と短いぽてぽてした四本足、そしてふさふさのしっぽ。今は少し荒れているものの、長く柔らかそうな毛並み。  全猫界のなかでも愛くるしさ選手権上位に食い込むこの猫の種別は、普通ならピンと上向く耳が半ばでくるりと垂れていることから、想像はつく。  ────"スコティッシュ・フォールド"。 「ねーねー。このこ飼っていいかなー?」 「飼っていいでしょー?」  愛らしさを体現した存在を見て、飼いたいとせがむ双子の様子を見て。  俺がくだした決断はというと。 「反対です」 「「えー」」 「りっちゃーん」 「そこを何とかさー」 「駄目です。飼ってもちゃんとお世話できないでしょう」 「「すーるー!」」  双子が両サイドから俺の肩にぐりぐりと頭を擦り付けて攻撃してくるわけだが、精神的な面にも攻撃をくらったわけだが、俺は負けん。  処分はさすがに良心が痛むのでせめて誰かの実家で飼うとか、とにかく他にも方法はあるだろう。  先ほどマツリが言った校内法規に則れば、基本的に「一般生徒が寮内でペットを飼育することは禁止」されている。それでは:一般生徒に当てはまらない《・・・・・・・・・・・・》生徒会なら飼ってもいいのかどうかと問われると、これがわからない。何せ前例がない。  ただ、正当な法規違反にはあたらなかったとしても、「一般生徒に示しがつかない」という大義名分を使って生徒会を糾弾する要素としては、大いに成り得るのだ。  つまりは、心証の問題。  《月例会議》が近い今このタイミングで、わざわざ生徒会をつつくための撒き餌を『6委員会』に与えてどうする。 「……だめ?」 「……。駄目です」  しょぼーんと、タツキが眉を下げた。  一緒に耳と尻尾も違う違う垂れた耳も尻尾も幻覚だ、落ち着け。  ” にあ! “  今度は何故か俺の方に寄ってきた子猫氏。  ぽん、とハンコでも押すように、テーブルの上に乗せてた俺の手に短い前脚を載せて、こっちを見ろと言いたげに鳴き声を上げる。  ほんとに人なつっこい。いや、これは腹でも減ってんのか? そうでもなけりゃこうも人間に寄ってこねえよな、猫って。  そんなことを冷静に思いつつ下を向いた俺を待っていたように目を合わせてから、そして甘えるように、子猫は俺の指先をぺろりと舐めた。  ……。…………か、かわあ……。 「「うわあかわいいい」」 「………かわいい……、」 「……だ、駄目な、ものは、」 「お、効いてる」  うるせえバ会計。 「会長やマツリはどうなんですか。さっきまで反対派でしたよね?」 「好きにしろ」 「オレは中立ー」  チッ。使えない。  学園の中には生徒会に個人的な恨みを持ってる生徒だっている。熱烈な親衛隊もいる。非力な子猫がそういうヤツらの"標的"になる可能性だってゼロじゃない。  対外的な問題を差し引いても、子猫に関わりうる危険だって考慮して反対してんだぞ俺は。  他にも、もし病気を持っていたら。猫アレルギーの生徒がいたら。俺らが授業受けてる間の世話は。躾は、部屋は、獣医は。  動物一匹飼うだけでも問題はいろいろある。 「「猫って何食べるんだろ」」 「チョコ、とか……?」  そもそもこの世間知らずサマ達に生き物を飼わせることが不安だ。俺が。  

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