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◇美化委員の声(各委員会別会議にて)
「……最終確認をしま、し、します。今回の、決定に、い、異議のある方…」
「矢島 さん頑張れー」
「あ、あっはい。すみません……」
「いつ見てもオドオドしてるな、矢島ちゃんって」
「そっこがいいんでしょぉ? 小動物みたいでカワイイんだから」
「お前が言うと犯罪に聞こえるからやめろ、カマ野郎」
「失礼ねぇ。私語は慎みなさい、一応、会議中なんだから」
「つっても、美化委員なんて目立つ仕事じゃねえしなあ。矢島ちゃんも気負うことないのに。テキトーでいんだよ、テキトーで」
「矢島ちゃんはあんたと違って頑張り屋さんなの。まあ、それだけが理由じゃないでしょうけど」
「あ?」
「もう6月も中旬でしょ。つまり、そろそろなのよ。あの、『役職持ち』勢揃いの、《月例会議》」
「………ああ、例の……」
「あの会議の事前準備をテキトーだなんて、普通の神経ならムリよ」
「会議中の緊張感で二キロは痩せるって言ってたな。伊勢が」
「参加者は皆、三日は前からピリピリしてるものね」
「平素と変わんねえの、保健委員長くらいじゃね?」
「まあ、彼はちょっと、変わってるから」
「あの会議の出席者って、ほぼ三年だよな?」
「二年生は矢島ちゃんと、副会長さんだけね。同じ学年同士、うまくフォローしてくれないかしら」
「周りに気を使う余裕なんてねえだろ。副会長と風紀副委員長は特に」
「そうなのよね………あの『神宮』様と『志紀本』様が公的に対面する空間なんて、たとえ親衛隊だろうと、立ち会いたいとも思わないもの……考えるだけで、恐ろしいわ」
【美化委員会】……
一クラス一名ずつ。縁の下の力持ち。校内の備品点検・管理だったり、行事では細かいサポート役を請け負う。文化部が多く、手先が器用。消極的な美化委員長を影ながら支えるアットホームな委員会。
人見知りで引っ込み思案な美化委員長は『6委員会』代表の中で唯一の二年生。
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