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とりあえず危惧していたひとつの関門は切り抜けられたので、このまま平穏に第二関門も突破したいところだ。
大丈夫、俺には女神の加護がついている。
謎の自信のもとに女神をチラリと視界にいれると、またもや目があって柔らかく微笑まれる。うれしい。
しかし同時に、園陵先輩の方向に目を向けるたびに、背筋がひりつく感覚に襲われる。
実を言うと……志紀本先輩とは、この会議が始まってからというもの、まともに目を合わせられていなかったりする。
もっと言えば、会長とはまともに話せていない。会議室に入った途端、会長は目に見えて口数が減った。俺も俺で緊張していて、気軽に話しかけられる精神状態じゃなくて。
ただ、この二人は仲が悪いと言ってもわざと相手を挑発して喧嘩を売り買いようなことはしないし、仕事関係なら事務的にとはいえ言葉を交わす程度ならできる。
だから、波風立つような議題でもない限り、大丈夫、だと思いたいけど……。
「……では次に、今後のイベント説明を行います。手元のレジュメをご覧下さい」
気を取り直して、議題の2つ目。
今後の行事の諸々とした説明と、行事にあたっての役割分担の検討会。
ぺら、と一斉に紙がめくられる。
プロジェクターを操作し、まずは淡々と行事日程を読み上げた。
直近の行事は生徒総会並びに立食パーティー。
続いて7月頭には期末考査が始まり、テスト明けの7月7日の夕方からは一学期大イベントの七夕祭りが催される。
つまり今学期は、これからが忙しい。
この学園は本当にイベントが好きだ。理事長が季節ごとの風習だったり催しだったりを好むひとらしく、主に後援からの莫大な寄付金、さらに噂では理事長のポケットマネーによる底なしの運営費のおかげで、例年大々的なイベントが執り行われている。
運営側の人間としては、そこまで頑張んなくても……という気持ちになるけども。期末考査の勉強と平行して行事の準備とかクソ地獄だわ。
資料でせっせと紙ヒコーキを作っている人間にはこの苦労を理解できまい。なあ二葉先輩???
「…───現時点での予定は以上です。また微調整などがありましたら、必要によっては通達致します。……質問はございますか」
この議題に関しては毎年のことなので、過去の資料を参考に作成した。特に不備はないだろう。会長や園陵先輩から赤ペンチェックをしてもらったので、風紀とも連携済み。手抜かりはない。
会長や志紀本先輩が口を開くまでもない。
喋り通しで疲れはじめた喉を誤魔化して、いくつかの質疑に応答し、議題の2つ目も無事に消化。
……さて。いよいよ、3つ目。
本番はこれから。
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