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そんな折り、ふよふよとどこからともなく紙ヒコーキが飛んできたのですかさずキャッチ。ナイスコントロール過ぎて逆に腹立つ。
資料の裏の白紙のページに『飽いた』と書かれていた。どうせ二葉先輩だろうと当たりをつけて投げ返したら思いの外よく飛んで藤戸氏の脳天に刺さった。あらまあ。
まあいつも会議が終わるまで寝てるし、紙ヒコーキひとつで起きることもないだろう。無視。
会長の横、空いた席に座る。
カラカラにかわいた喉を潤すため、園陵先輩が全員に淹れてくれた紅茶に口をつけた。
ちょっと休憩。よし、がんばる。
「この1ヶ月間の、学園全体の動きについて……何か、気になったことがあれば」
議題、3つめ。
言い終えてからは口を結び、ちら、と風紀委員の二人の様子を窺う。
これに関して主導権を握るのは風紀代表の志紀本先輩だ。口火を切るのは決まってこの人から。
いつもの会議なら、そんなに長引く話題でもない。簡単な注意喚起だけで終わる。
でも。
この、1ヶ月間は。
一筋縄ではいかないだろう。何せいろいろあったのだから。
ここ最近で何か、学園全体を騒がせたことといえば。
その中心には、たった一人の転入生。
「親衛隊が暴走している。各々、原因は想像できるだろう」
佐久間ルイ───悪い意味で話題を浚う転入生・王道に関するごたごたが一番に思い浮かぶ。
俺が明確に把握している『王道事変』だけでも、"食堂イベント"、佐々部さんとの"部活勧誘ボクシング大会"、それから"カンニング騒動"。王道のことだ、それ以外にもまだまだ面倒ごとを巻き起こしているはず。
しかし一人の生徒をこの場で名指しして断罪したところで、何かが解決するわけでもない。
だからここで、風紀委員長の苦言の矛先を向けられる対象は。
「この1ヶ月と少しで、例の一年に関する苦情や被害が風紀に多く寄せられた。あの一年にも少なからず原因はあるが……それ以上に、生徒の代表たる生徒会役員数名の、無責任な対応が目に余る」
切れ長の眦が、世にも珍しい銀灰色の瞳が、一度またたいて、会長と俺を冷たく見据える。
声は淡々と。
ひどく無機質な眼差しで。
「───生徒会の連中は一体何をやっている?」
嗚呼、ついに来た。と。
この場にいるほとんどの人間が、そう思ったに違いない。
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