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 生徒会が王道関係で直接的に起こした不祥事、というと、食堂イベントを除けば、実はほとんど起きていない。  あったとしても、生徒会の誰かが王道に手を振っただとか、笑いかけただとか、俺からすれば「え、その程度で癇癪起こします??」と疑問に思うほど些細なことだ。  最初こそ生徒会の連中は王道ときゃっきゃうふふしたい恋愛脳ばかりかと思いきや、案外、彼らはそこまで王道に依存してないし、盲目でもない。  王道が来る前と後とで、様変わりするほど大きな影響力があったとも思えない。ただ、まわりが、小さな出来事を大袈裟に取りあげて騒いでいるだけ、というのが俺個人の見解である。  しかし親衛隊側からすれば、俺たちの内情など知る由もない。  たとえ会長が自分より小柄な人間なら口説かずにはいられない病を患っていたとしても、その相手が王道となれば罵詈雑言を飛ばし、マツリが三割増しの笑顔で王道に絡めば、制裁の日時はいつにしようかと肩を組み審議を始める。  中には篠崎くんみたいに遠目から見てひっそり傷付くオトメンもいるから一概にとは言わない───けれど、平の親衛隊員には基本的に、過激派が多い。  自分たちが気に入らないと思えばすぐに粛清に走りがちだ。  それは学園の非常識的な常識や集団心理も原因にはあるだろうが、どんな理由があろうとも多勢に無勢のイジメであることに変わりはないし、その実態は肯定できない。  まあイジメられている張本人の王道があの調子だからイジメられっ子感は皆無だけども。  しかし風紀は学園の規律と秩序の番人。  だからその代表が、イジメっ子側である生徒会の親衛隊と、本来親衛隊をコントロールすべき親衛対象である生徒会の管理体制を非難することは至極当然。  たとえ風紀の代表がイジメられっ子側にいい感情を持ってなかろうと、だ。 「……親衛隊の暴走は、生徒会としても本意ではありません」  会長が口を開く前に、慎重に言葉を選びながら返答する。  俺の親衛隊は隊長の頼がカンペキに手綱を握ってくれているので、暴走したのは両手の数にも満たない程度に抑えられている。  過激派ばかりがホイホイされる会長の親衛隊とは違って、俺は腹を探られても大して痛くはない。  ちら、と会長が俺を横目に見た。けれど今は目を合わせる余裕なんてない。  別に庇ったとかじゃねえからな。  あんたと志紀本先輩が対話をしようものなら俺と他の『役職持ち』たちが困るだけなんだからな。勘違いすんじゃねえぞ。  

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