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文字通り猫可愛がりする会長は、意外と優しい顔をする。
改めて見るとやはりすごくキレイな見目だと思えるのが不思議なところ。ただし黙っていれば。
「ノアは大人しいコですけど、基本的にふてぶてしくて可愛げがなくてなかなか懐いてくれないのが本来の猫の性格です。むやみに手を出すと引っかかれますので、気をつけて下さいね」
「要はお前と同じか」
「何か言いました?」
「何でもねえ」
何はともあれ、会長もノアの魅力にすっかり陥落。さすがもふもふ効果、向かうところ敵無し。
俺と会長のわずかな隙間に挟まれながら、ノアのアイスブルーの目がゆらりと蕩けた。やはり猫、狭い場所がたいそうお気に入りらしい。
……んん? ”わずかな隙間“……?
「イイとこ触ったらカワイイ顔になるのは、人間と同じだな」
「は? ---ッ、ん、ン……っ」
「…エッロい声」
ノアに視線を集中していたことがいけなかった。いつの間にか会長が迫っていた。
節の長い指の先に顎下をごろごろと擽られて、不可抗力にもわりと本気で感じ入った声が出る。
手を振り払って会長をぎろりと睨み上げた。この無節操め、油断も隙もない。
「教えたことを悪用しないでくれませんか」
「手が勝手に動いた」
「ノア、今すぐその男の膝から降りてきなさい」
” に “
その男は危険だ。いくらテクニシャンだからって、簡単に気を許しては……いけませ……。
って、あれ。なに。ノアの顔が、近、
“ みぅ ”
「、ぅ」
「ほらそう拗ねるな」
次第にノアが近付いてきたかと思ったら、鼻頭にノアからキスされた。
正確には、会長がノアを顔あたりまで持ち上げて、俺と会長を隔てる盾代わりにした。
そして猫から可愛い悪戯。
ここで猫の手を借りるなんてずるい。ときめく以外にどうしろと。
「今のは卑怯ですよ……」
“ みゃっ ”
鏡に映った自分を再度見ると、疲労と緊張を隠していた姿と打って変わり、普段通りの表情。気付けば俺自身も、ノアの存在に癒されてしまっていたらしい。
ノアを拾ってまだ1ヶ月も満たないけれど、こいつには精神的な面でたびたび助けられていると実感する。
だからこそノアの方も、いずれ生徒会やこの学園の空間に安堵を覚えるようになってくれたらいいなと、思う。
こいつは見つかった過程が過程だから、なおさら。
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