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「『強制参加』でコウとタツキも連れてきた。挨拶しておきたいヤツは今のうちにしておけ」  俺の心の叫びは届かず、ぽん、と背中を軽く押され、《黎》メンバー及び傘下の数十人とご対面。  --しぃん、と、一瞬静まるフロア。  その間にタツキは俺の後ろを呑気についてきた。マツリと双子は楽しそうに傍観している。  冷や汗が流れる。  なにこの、とてつもない気まずさ。  現役四人はもちろん、タツキも喧嘩が強いしまわりから慕われてるからいいけど、俺が登場したところでなんの足しにもならねえよ。  せめて目立たないモブでいたかったのに、こんな注目を浴びる登場の仕方をさせるなんてあまりにもあんまりだ。  そう会長に抗議しようとした、俺の声は。 「総長、話が違いま、」 「~~ 、ッッコウさあああんタツの旦那あああお久しぶりでえええ!!!」 「ッシャアアアアきたねえ野郎の巣窟でもコウさんがいたらモチベがちげえぜ!!」 「てンめ、アオ兄弟をきたねえ野郎にカウントしてんじゃねえよ喧嘩うってんのか!」 「タツの旦那がいれば怖いもんねえッスよ!」 「ああ!? 総長やクロさんがいるだけで十分心強いだろうが!!」  ォォォオン、と、耳障りな反響によって掻き消された。  耳、耳が。  時間差で不意打ちとは卑怯な。  狼狽えることしきりの俺を、底意地の悪っそうな顔で会長が見下ろしている。は、謀ったな。 「ど、どういうことですか」 「どういうことも何も。けっこう多かったみたいだぜ。お前に会いたかったやつ」  そんな馬鹿な。  たかだか3ヶ月の縁で、大して親睦を深めたわけでもなく、3ヶ月近く離れていた人間なのに。  なんて思っていたら下っ端数人が近寄ってくる。  だがしかし、体格の良い不良達に包囲される恐怖を想像して欲しい。誰か助けてくれ。 「コウ様! 噂はかねがね!」 「僕、コウさんか抜けた後入った新入りなんですけど、武勇伝をいろいろ耳にしまして! お会いできて光栄です!」 「……噂? 武勇伝?」  双子をチラリと流し見る。  疑惑の目を向ける俺に対し、双子はシンクロしながら焦り顔をぶんぶん横に振った。吹聴しそうなメンツなんてお前らしかいねえんだよわかってんだぞ。  というか武勇伝なんぞ心当たりがまるでないんだが。 「「「裏のドン!!」」」 「は?」 「タツの旦那の良きブリーダーで!」 「アオ兄弟の保護者で!」 「百戦錬磨のクロさんが攻めあぐねてる相手で!」 「天下の総長様が逆らえない姐さん!」 「……は?」 「二度目の「は?」いただきましたー!」 「はァンッ、冷たい眼差し……」  ……こんなにドエム多かったっけ?  若干冷めた目で見ていたのも束の間。次に並べられた"武勇伝"を聞き、思わず溜め息が漏れる。 「そして、幻の副総長が、溺愛してる弟!」  弟じゃねえし……あのほら吹きめ。  

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