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 どうせこいつらだって学園の王道信者たちと同じく王道に対して性的欲求を向けているくせに、自分のことは棚上げしたあげくあの学園でノンケを貫くこの俺に向かってヤリ×ン扱いだなんてなんとまあ腹立たしいだこと。 「一般庶民が権力者にどう取り入るか言うんは、方法も限られてくるしなあ? そのフードの下、えらい別嬪さんなんやろ? そんで床上手ともなれば、あのホモ校ではさぞチヤホヤされるやろォな」 「どうせ《黎》の幹部になれたのも実力じゃなくて、そこの総長のセフレにでもなったからじゃね」 「何だよただのアバズレビッチかよ」 「ルイに近付くな淫乱野郎。穢らわしい!」 「………」  あばずれ……びっち……い、いんらん…。  どれも生まれて初めて言われた言葉のオンパレード。屈辱を通り越して新鮮味さえ感じる。  けれどここで否定したところで図星を指されたと思われるのがオチだし、そもそも彼らは俺にとって、弁明が必要なほど密接な関係性でもない。  彼らに誤解されたところで、今夜が終わればもう無関係の相手だ。  唇を噛んで反論をぐっと飲み込む。  平常心、平常心。 「なに、さっきから黙っちゃってさあ。悔しかったら何か言い返してみろよ」 「本当のことだから何も言えないんだろ」 「総長さま~たすけて~とでも叫んだら? ただの使い捨てセフレ相手に助けがくるかは知らないけど」 「………」  散々な言いがかりだ。  つーかこいつら好き勝手に言ってくれるが、もしも万が一全部見当違いでフードの下の俺が副会長じゃなかったらとんだ赤っ恥だったぞ。  下世話な話になるがここで明示しておくと、俺は非童貞であり処女である。  男相手に挿れた挿れられたなどと想像しただけで身の毛が弥立つ。  ただの遊び感覚で女の子とそういう関係を築けるタイプでもないので、学園に入学してからは専ら左手とオトモダチ。なんと枯れた高校性活だこと。 「アタマの悪そうな挑発はやめえや。まあ、要はな。キミをぼこってどうこうしようって気は今ンとこないねん。ほら、生徒会の副会長はつまり、学園の女王サマってことやから。人質の価値としてはジュウブン、やろ? 有効活用せな」  なるほど。  つまりは………ナメられた、と。  人質にされるような、チームのお荷物だと位置付けられた。  一緒にいる連中が偉くて強いからといって、自分までそうだと思いこむほど愚かではない。  客観的に見れば確かに、そう見えてしょうがない。  経験数は3ヶ月未満。  ブランクも3ヶ月近く。  ちゃんとした武道経験はなく、見た目も貧相、さらに権力も持たない、肩書きだけの元幹部。  怪我はさせないでいてやると、弱いものイジメでもしているかのような目線になるのも自然。割りきるべきこと。  だから今は我慢。我慢の、ときだ。  

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