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交渉成立 1

* * * 『───大丈夫。お前が頑張っていたことはオレがよく知っているよ』 『───お前は確かにまだ子供で、できないこともたくさんあって、精一杯背伸びしても届かないことはいくらだってあると思う』 『───お前は、子供のくせに要領いいし、かしこいし、たまに腹立つ屁理屈もいえるけど、それでもまだ無力な子供でしかない』 『───お前は万能じゃない』 『───だから今みたいにさ、子供は子供らしく、素直に甘えることも必要なんだよ』 『───……え? オレも子供だって? 馬鹿言っちゃいけません、オレはもう中学生なの。リオみたいなランドセル背負ってるお子様とは違うの』 『───うん、お前もお兄ちゃんになるからね。きっと、この気持ちが分かるよ』 『───リオがお兄ちゃんになったら、お前のことだし一層気を張っちゃうだろうけどさ。辛くなったらここに来て。他のどこでもない此処に来て』 『───”なんで?” ……うーん。これも、もう少し大人になったらリオも分かるかもな。とにかく、オレじゃないところはダメ』 『───ほら。頷いて』 『───……うん。いいこ、いいこ』 『───じゃあ、約束しよっか。小指を立ててごらん』 『───お前の柔い部分を、しっかり受け止められる相手と出逢えるまでは』 『───オレ以外の前でそのカワイイ泣き顔を見せたら絶対にゆるさないよ』 * * *

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