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◇吹奏楽部の声 「なあ、俺のアンディ(バチの名前)とフランク(バチの名前)知らない?」 「譜面台の上にあったぜ」 「太鼓おっっも」 「もっと丁重に扱えよ。楽器様は神様だろうが」 「──はいはい静かに! 雑談やめて最終確認すっぞ!」 「「「「ウィース」」」」 「なにあれ、部長ピリピリしてね?」 「お祭りの屋台、恋人(♂)と回る時間ほとんど取れなかったからイラついてるみたいですよー」 「あー、なるほど。でもずっと演奏ってわけじゃないよな?」 「んと、空き時間はあるはずです」 「ふーん。俺、誰誘おっかなー(ちら)」 「えっ? あ、の、先輩、良かったら……(チャンス!)」 「あ、ちょうど良かった。お前どうせ一人なんだろ? 仕方ねえから付き合ってやんよ(ドキドキ)」 「ひ、ひどいですもーっ(嬉しい)」 「またリア充ができましたね」 「イベントの前後はほんとすごいよねぇ」 「人気上位陣の呼び出しラッシュたるや」 「アル様とかねー」 「ベガ様とかッスねー」 「だって当日がお誕生日だもん。もしも一緒にお祭りを回れたら、もう特別みたいなものじゃん?」 「せめてお祝いだけでも直接言いたいッス……三年生は今年が最後の祭りなわけだし」 「そうだねえ。当日は何着て行こうかなー。ねね、何を着たらアル様の印象に残りやすいと思う?」 「僕は先輩の浴衣姿が見たい…………あ(しまった)」 「へっ……(照れ)」 「爆発しろ」 「爆発しろ」 「初々しいリア充羨ましいです」 「あ、玖珂先輩が自主練を始めたぞ」 「イケメンは皆敵です」 「玖珂先輩、今日はいつにも増して音の調子がいいような」 「なんだか甘味を食べた直後の幸せオーラが漂ってる気がします」 「そういや二年の最終科目は家庭科の実技だったらしいし、それでかな?」 「あれ、でも玖珂先輩ってオーブン爆発させるレベルの古典的料理音痴じゃ……」 「──ほらそこ! 無駄口叩く前に手ぇ動かせ! 当日、絶対成功させんぞ!」 「「はいぶちょー!」」 【吹奏楽部】……  音楽とお喋りが大好きな生徒が集まる賑やかな部活動。  木管楽器には女子力高いゆるふわ男子、金管楽器にはお洒落なカシミア系男子、打楽器には一風変わった個性派男子が集う。  男子校・驚異の美形率・入賞常連とあって、ドキュメンタリー番組や密着取材のオファーが定期的に来るものの学園の方針上すべてお断り。  部員の数は学園でも5本指以内に数えられる。学園一リア充が多い部活動。  

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