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「ドンマイっ!」
「……」
「ね、元気出しなよー。そりゃあ風紀が今回お祝いってことで免除になった見回り業務を生徒会が代行することで思いきり遊べなくなったからってさあ、副会長様なんだから笑顔は欠かしちゃ駄目だよほらほら慇懃無礼営業スマイル!」
「う、ぜ、え」
リウの旋毛に親指を押し込んで黙らせる。
人の災難を面白がりやがってこの悪辣腐敗馴染み。
簡潔に言うと、仕事ができた。
七夕祭りの運営は生徒が分担して行う。
広報委員は宣伝とアナウンス、体育委員は花火の裏方の手伝い、保健委員は救護班、一部の運動部は御輿、美化委員は雑用諸々、図書委員はビラの作成、屋台の運営は各部活動生のローテーション、その他細かい仕事は帰宅部の生徒が補う。
分かる通り、全校生徒が関わる大イベントだ。
その中でいつも生徒の問題行動や揉め事などの取り締まりを一手に引き受ける風紀委員は、今回トップ二人が誕生日とあって全面的にお休みらしい。
いつも行事のたびに働く風紀だ、そこは別にいい。しかしその肩代わりとして生徒会が見回りという名目で祭りに参加しなければならないらしく。
風紀委員は30人程度、対して生徒会はたった6人。
どう考えても人数不足。絶望した。
だが、かえって都合が良かったというべきか。紘野に断られた今、ぼっちで回るくらいなら業務の一貫として参加する方が気が楽だ。べ、別に悲しくなんかない。
見回りといってもずっと気を張る必要はないと思うし、のんびり自分のペースで行こう。
それに、まあ、せっかくの誕生日だし。
二人にとって学園生活最後の七夕祭りなわけだし。
あの二人だってたまには職務を忘れて好きに遊んだって、バチは当たらないんじゃねえかな。
「何ガタガタ騒いでンだテメェらは」
「あっツバキ先輩!」
「げっツバキ先輩……」
「リウはいい。趣味さえ改善してくれたら尚いい。だがなンだリオ、先輩様に向かってその態度は。ん?」
そんな思考に水を指す声。
顎を人差し指一本でクイと持ち上げられ、無理矢理顔を合わせられる。鮮やかな赤髪が特徴の寮長・ツバキ先輩の見下し顔が目の前に。
正座する俺の横に大胆にしゃがみ込んだことで、濃紺色の浴衣からがっつり生足が見えて周りの小柄な家庭科部の部員たちが赤面しているのだが、お構い無しである。
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