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それからまた数十分。ところ変わって、別エリア・色彩豊かな石畳が敷かれた学園広場、迷路のように複雑に入り組んだ遊び心あふれる屋台並びの途中にて。
端的に言うと、囲まれました。
「奇遇ッスね~~」
「お一人ですか? 良かったらオレらと回りません?」
「今日は会長様と一緒じゃないんスね……」
「申し訳ありませんが、仕事中ですので」
相手は3人組。一年生だ。
履き慣れない下駄ではさすがに歩き疲れてきたために小休止をとっていた最中、突然現れて以降この状態。
周りの生徒からチラチラ見られていることに3人組は気付いていないらしい。
にしても3人目、お前は何故ちょっと残念そうなんだ。俺と会長がまるでいつも一緒のように認識している口振りはやめてくれないか。
「そうつれないこと言わないで下さいよー」
「あ、金なら俺らが出しますよ?」
「もしや会長様と喧嘩ですか? 擦れ違いもまあ軽率にすこですけど、夜明けの腐男子としては最後はやっぱりハピエンじゃないと解釈違いです」
面倒だな……色んな意味で。
中等部からの持ち上がりがほとんどの一年生たちにとって、外部生で生徒会入りした俺はまだまだ好奇の対象らしい。舐められてる、とまでは言わないが、一般家庭に対する軽視が少なからずありそうだ。
だが3人目、お前だけどこの次元の話をしている。
どうやって躱そうか、会話を適当に流しながら脳内で退路を模索中の折。
「「「あ……」」」
「?」
「な、なんでもないデース」
「ではまたっ!」
「ッふ……ンンーっ! ん゛ン!」
唐突に、集団が足早に俺から離れていった。何か叫び出しそうだった三人目の口を無理やり塞いでの撤退。急にどうしたのだろうかと疑問を抱きながら、小走りで去っていく3人組の後ろ姿を目で追っていたら、背後から、声が。
「───顔を見ていないと思ったら。こんなところに居たか」
パッと顔を上げる。
人混みの中から現れた存在。
人混みの中でも目を惹く存在。
本日の主役の一人と言ってもいい男の人。周りの視線が一気に吸い寄せられる。
墨色の地に縦縞、紺の帯。暗めの合わせが一層際立てる白い肌や見事な金髪。制服では滅多に曝されない首元や足首の肌が、提灯で朱く染められてやけに妖しい……と、鼻息荒くリポートする新聞部数名の声を耳が拾いました。
さっきの3人組はこの人を見て逃げたらしい。さすがは学園屈指の大権力者、風紀委員長サマ。
「志紀本先輩……」
「災難だったな」
「別に、このくらい……平気です」
「それは失礼した」
失礼した、なんて欠片も思ってなさそうに笑う顔を見上げ、いつもよりほんの少し、表情や語調、雰囲気が柔らかいことに気付く。
どうやらこの人も今日の七夕祭りを楽しんでいる模様。
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