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「ここまでの説明で何か質問などはございますか?」
「……頭の整理をする時間を戴けますか?」
「それが質問ですね? はいどうぞ」
快く頷いて、片手に持っていたコンパクトなハンドブックを一旦閉じる。
この本は半年前の生徒会入り後、会長サマのスパルタ指導の下でせっせと書き上げた生徒会業務マニュアル(自作)だ。
資料室の作業テーブルに移動してすぐ、突然始まった俺の一本調子の説明(裕に15分近く話した)に、さすがの結城も情報量の多さと業務内容の特殊さに理解が追い付いていないようだった。
それもそうだろう。
一般生徒が知り得ることができる生徒会の業務内容なんて、せいぜい司会進行や行事の企画といった一面的なことくらい。
実際がどれだけ多忙極まりないかについては、入ってみなけりゃわからない。
「生徒会が教師より立場が上って理由も、これで納得しました……。……カリキュラムや教師の人選にまで生徒会が介入って…」
「介入といっても、これまでの歴代生徒会の方針をそのまま踏襲している部分も多いですけどね。まあ、今の会長に代わってから、一新された面もあるようですけど」
ここだけの話、教員採用面接では面接官として生徒会の一人が立ち会うことになっている。
面接時の映像も記録され、その教員の出身校や経歴も丸裸にされ、学園長が認めようとも生徒会が認めなきゃこの学園で教鞭を執ることはできないし、もし採用されたとしても継続的に生徒会の審査対象だ。
異動が極端に少ない分、判定はだいぶ厳しい。
よほどの失態をおかさない限りあっさりクビを切られることはないと言えど、そりゃあ教師陣は生徒会に逆らえねえわ。
「……それで、俺は何をすればいいんですか? 今聞いた業務内容だと到底、新人に任せられそうな仕事はなさそうですけど」
「そこなんですよね。実は私も、生徒会庶務の仕事って何をさせるべきなのか、まだしっかり考えていなくて」
「…………─はあ、、?」
おお。今の反応はだいぶ、彼の『素』を引き出せたんじゃなかろうか。
まあすぐに表情を引き締めてしまったので、ここで深く追及はしないでおこう。今のところは。
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