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第4話

 半ばやけになってズボンだけ脱ぎ捨て、Tシャツ一枚という格好で希望はライへの『ご褒美』に挑んでいた。 「んんぅ……っ」  希望はお世辞にも上手いとは言えない。それでも、口内の熱は固さを増していた。    どうしよう……まだ、おっきくなってる……っ    希望の口には到底収まりきらない大きさに、希望はくらくらしてしまった。  以前教えられたように、たっぷり濡らして、じゅぷじゅぷとやらしい音を立てていると、とてもいけないことをしている気がする。大きく固くなったそれが、舌や口内を擦るとゾクゾクと這い上がる快感に身体が震えた。    ライの熱に添えられている方とは反対の手は、自分の中をかき乱している。ローションをたくさん使っているが、希望は自分で慣らすことが得意ではなかった。膝をついて、咥えながらでは、ますます奥に進まない。  けれど、きちんと慣らさないと、ライのことだからそのままぶちこんでくるだろう、と懸命に中を拡げる。くちゅくちゅと音がして、必死に指を動かしていることが嫌でも分かる。  希望はこの行為自体には、まだそこまで気持ちよさを見出だせていなかった。  けれど。 「んっ、ふぅ……んんっ……?」  ライがおもむろに希望の髪を撫で始めた。髪を撫でて、耳をくすぐり、首筋に指先を這わせる。自分にこんな恥ずかしいことを強要してきた元凶なのに、柔らかく触れる手のくすぐったさに、少しほっとしてしまった。  ライの触れたところから、じくじくと甘く痺れる。身体の奥まで侵す甘い痺れに、希望は震えた。もう三本も指を咥えているところが、きゅんきゅんと反応するからそれがどうしようもなく恥ずかしい。    変な風に触らないでほしい……、気持ちよくなっちゃう……!    口も手も塞がっているから、希望はちらりと上目遣いでライを睨んだ。きゅっ、と眉を寄せて、じっと睨む。希望はそのつもりだった。  けれど潤んだ瞳で、切なげに眉を寄せている表情は、とても抗議しているようには見えない。  案の定、ライは、はっ、と笑った。希望の考えていることは分かるが、それを汲み取ってやる優しさなどライは持ち合わせていない。  これで拒んでいるつもりかとでもいうように、笑みが深くなっている。 「準備できた?」 「えっ! ま、まだ……!」 「大丈夫だよ。三本入っただろ?」 「……っ」  希望はぎゅうっと唇を結ぶ。視線を泳がせて躊躇っていると、ライが微笑んだ。 「おいで」  低くて甘く、優しささえ滲ませた穏やかな声に、希望は胸をきゅぅんっと掴まれる。  優しさなんてあるはずないのに、ときめいてしまった。ああ、自分をぶん殴りたい。    希望は自分に憤りつつも、恐る恐るライに跨がった。  ライの肩に手をかけて身体を支える。反対の手はライの雄に添えて、自分の蕾へと誘った。熱を押し付けると、指とは比較にならない質量に身体が強張る。腰を下ろそうとしても膝が震えて止まってしまった。  はやくはやく、と強請る身体の反応と、ゆっくりゆっくり、と懇願する理性が、希望の心を掻き乱す。 「んっ、ふっ……んぁっ……、ンンッ……」 「……もしかして、焦らしてんの?」 「んっ……ち、がう……!」  希望は顔をあげてライを睨んだ。唇を噛みしめ、顔は紅く染まり、瞳は艶やかに潤んでいる。ライは意地悪そうに笑って、楽しんでいた。 「んっ、あっ……ぁあっ! ……んぅっ……! はぁっ……!」  ライに煽られて、腰を落とすと、ずぶっと先端の太いところが沈む。ゆっくり呼吸を繰り返していると、ライの手が腰と背中に回った。希望を支えるように抱き寄せる。  希望は無意識だったが、少しほっとして、息をついた。   「――ッァアアッ!?」    気を抜いた瞬間に、下から一気に突き上げられる。  ずぐんっと一気に最奥まで貫かれて、希望は目を見開いた。大きく仰け反って震え、はっ、はっ、と短い呼吸を繰り返している。目の前がチカチカして、膝から崩れ落ちてしまった。 「――~~っっ?! なんで……っ?」 「だって焦らすんだもん」 「焦らしたわけじゃ……んんぅ…っ!」  ライが希望の腰をじっくりと撫でる。奥を突かれたせいか、希望の身体は一際感覚が鋭くてなってしまって、ただ撫でるだけの刺激さえ、快感に変えていた。 「やっ、やめ……んっ……!」 「じゃあはやく腰振って」 「う、うごくっ! 動くから!」  震える足に力を込めて、希望はゆっくり腰を上げようと動き出した。両手は腰の後ろ、ライの腿の上に乗せて身体を支える。  しかし、ライをずっぷりと受け入れたままでは少し動く度に中が擦れてしまい、希望は何度も身体を震わせて、動きを止めた。  必死にもたもたしている希望を、ライは悠々とした態度で眺めていたが、不意に希望のTシャツに手を伸ばして捲り上げる。 「びゃあっ!? な、なにすんの!?」 「咥えといて」 「え? な、なんで、ん、むぅっ……!」  Tシャツの裾を口に突っ込まれて、希望は思わず咥えてしまう。露になってしまった肌を、ライがじっくりと撫でると希望の身体は小さく震えた。 「んっ、んんぅ……?」 「せっかくだからちゃんと見せてよ、エロい身体」 「……っ!?」  かぁっ、と希望の頬が熱くなる。怒りと恥ずかしさで、ふるふると震えた。もう、睨むほどの反抗心が残っていない。  いっそのこと、全部脱いでおけばよかった、と希望は後悔した。   「……んっ、んんぅ! んっ……ンッ!」  ギシギシ、と二人分の体重でソファが軋む。希望が必死に腰を振るのを、ライはじいっと見つめていた。 「ンッ、んぅ……っ! ふっ……んぅっ!」  ゆっくり動いているが、時折気持ちのいいところにあたると身体が勝手に仰け反ってビクビクと震える。ライの方へ胸をつき出すような姿勢になってしまい、自分でTシャツの裾を咥えて捲って、まるで身体を見せつけているようだ。触れられてもないのに、ぷっくりと乳輪が膨れて、つんっと立ち上がった中心も、恥ずかしくて仕方ないのに、身体が勝手にそうなってしまう。 「ンンッ!?」  ライの手がピンク色の突起をきゅうっと摘まんだ。希望の身体と中がびくっと震える。思わず口からTシャツを離してしまった。 「だっだめっ!」 「あー、離すなって」 「だってさわっちゃ…んぅっ……! ……うぅ……っ」  希望の抗議を封じるように、Tシャツを咥えさせる。  希望がいやいや、と首を横に振るのも構わず、ライは希望の胸に再度手を伸ばした。突起を親指の腹でぐり、と擦りあげると希望の身体がびくっと震え、ライと繋がっているところがきゅん、と反応する。 「ははは、絞まる絞まる」 「うっ、んぅっ……!」 「ほら、頑張れ」  続けて弄ぶと、中も応えるようにビクビクと震える。  動かずにいるとそれが嫌でも思い知らされるので、希望は再び動き出した。 「んっ、んんっ……んーっ……!」  さっきまで必死に腰を振ることしかできなかったが、ライに触れられ、刺激を与えられるとゾクゾクと背筋を快感が走った。  ライの手は熱くて、触れられたところが火傷でもしたようにひりひりする。胸だけでなく、腰を撫でたり、尻を揉んだりと、身体の至るところを触れられて、じんじんを熱く痺れていく。    すっごい恥ずかしいけど、ライさんに触ってもらいながらだったら……き、きもちいい、かも……!    熱は身体の奥まで響いて、いいところを求めて腰が動いてしまう。あわれもない姿を見られている恥ずかしさを塗り替えて、快楽を求めていた。 「腰止まんないねぇ、気持ち良くなってきた?」  夢中で快感を貪っていた希望は、びくっと震えて、ライを見つめた。 「必死なのも可愛いけど、俺へのご褒美だってこと忘れてない?」 「……あっ……! ……ご、ごめんなさい……」  思わずTシャツを離して謝るが、それでも腰がびくびく僅かに動いてしまう。希望は真っ赤になって俯き、瞳を潤ませた。  ライの腕が腰に回って、希望を宥めるように優しく撫でる。  熱い掌に少し安心して、恥ずかしさで強張っていた身体から力を抜けた。 「っ……あ、あの、おれもう、どうしたらいいのか、わかんな……っ」 「いいよ、可愛かったし。頑張ったな」  だから手伝ってあげる、と耳元で囁かれて、希望はゾクッと震えた。  優しかった腕はいつの間にか強く腰を抱き寄せ、背中に回っていた手はそのまま希望の肩を固定している。逃げられない状況であることにやっと気づいた。 「……え!? ま、まって、だめっ……アァッ!」  再び下から突き上げられ、希望の身体が跳ね上がる。自分の自重で落ちて、ばちゅんっと奥の奥まで衝撃が響いた。 「……あっ! ぁあっ! だ、だめっ、……あぅんっ!」  一度だけではなく、そのまま休む間もなく何度も突き上げられてしまう。激しい突きに脳天までビリビリと刺激が走り、肉壁を擦られてさらに締め付ける。先程まで静かにとろとろと涙を流していた希望の雄も、ライと密着しているせいで擦られて新たな刺激を与えていた。  やだっ、だめっ、と離れようとライの肩を掴む。けれど、問答無用で快楽を叩き込まれてしまい、思わずライにしがみついた。ライの頭を抱えるような形になって、必死に縋る。 「ああっ! あっ……! んっ、も、もぉ、だめっ……! ……んっんぅ――ッッ!!」  希望の身体がびくんっ大きく震え、一段と強くライを締め付けた。    ***   「んっ……ふっ、……あっ、……んっ……」  余韻の吐息を漏らし、ライにしがみついたまま、何度か小さく震える。希望がびくびくと身体を震わせて、余韻に耐えている間、ライはそのままにしていた。  少し落ち着いてから希望は、はぁ、と息をついたが、ライから離れ、顔を上げたところで目にした光景に固まった。 「……あっ……」  希望が必死にしがみついて縋ったせいか、ライの髪が僅かに乱れている。いつもは後方にかき上げている前髪がぱらりと前に垂れていた。さらに下の方に目を向けると希望の白濁でライの腹辺りが汚れている。    ラ、ライさんの、服、汚しちゃった……!    恐る恐るライを見ると、目があった。僅かに髪は乱れているが、目が合うと楽しげに笑みを浮かべる。意地悪そうな笑い方に、ドキッとして、きゅうんっと胸も中も締め付けた。 「あっ、ご、ごめんなさい…っ、服汚しちゃって…髪も……」 「ん? ああ、別にいいよ。それより、俺イッてないんだけど」 「えっ? ……ひっ、ひゃぁんっ!?」  不意に身体が抱き抱えられる。一瞬持ち上げられた浮遊感の後、ひっくり返されて、背中にソファの弾力を感じた。ライの楔が打ち込まれたまま、ぐぷりと奥を抉る。 「んっ、ああっ……!?」  仰向けになった視界に、ライが覆い被さっている。  希望が目を丸くして見つめていると、ライはシャツを脱ぎ捨てて、その逞しい肉体を露にした。  それまでの悠然とした構えから豹変し、獲物を貪る獰猛さを孕んだ眼が希望を捉えた。口許の歪んだ笑みは、加虐心が疼いて抑えきれないと物語る。    た、食べられちゃう……っ!!    もはや何度目かわからないが、捕食者を前にした獲物の気持ちを味わって、希望は震えた。  ライは希望の足首を掴んで、肩にかけると激しく揺さぶり始める。 「あぁ! やっ、ぁあっ! ひっ、やぁっ! んっ!」  ばぢゅっ、ばぢゅ、と肌がぶつかる音と接続部の濡れた音が混じりあって響く。下から突き上げられる以上に、逃げ場のない体勢で快感を叩きつけられて、希望は喘ぐしかなかった。  達したばかりの身体は敏感で、落ち着いたはずの熱は再びじゅくじゅくと溢れてしまいそうになる。 「ま、って、はげしっ、あぁっ! あっ! い、いっちゃ、うっ……! ――――ッッン!!」  希望が再び身体を震わせて、きゅぅっと中を締め付ける。 「んっんんっ……ひぁ…っ、あっ……あぁ…っ! …っ……! はぁ……っ……」  びくびくと震える希望を、抵抗も痙攣すらも許さないほど強く押さえつけて、ライは己の欲を奥へと注ぎ込んだ。    ***   「はぁ、はぁ、んっ……」  ようやく楔から解放されて、くったりとソファに身を預ける。引き抜かれた拍子に、白濁が溢れてしまって震えるが、起き上がる気力がない。  ぼんやりと見つめると、ライが前髪を邪魔そうにかきあげて、笑った。   「……それじゃあ、お勉強しよっか♡ 希望ちゃん」    悪意と遊び心で溢れて、いつもより声が弾んでいる。  こんな甘い声が出せるとは知らなかった。        ――こうして俺は、悪魔との取引をしてしまったのでした。

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