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第6話

「やっ、やぁっ……! あっ…もっだめ…っ! あっ、あっ…! アアッ――! あぁぅっ、んっ!」  押さえつけられ、自由にならない身体を、びくびくと震わせる。  腕は後ろ手にガムテープで拘束されて、両足も大きく広げられて押さえつけられていた。身動きがとれず、何度も叩きつけられる快楽に耐えられなくて、希望は自分の腹を白濁で汚してしまう。 「なんでイッてんだよ。お仕置きなんだけど」 「あぁっ!? い、いたっ……!」  ライは希望の胸の突起を挟んでいるクリップを強く引っ張る。  希望が持ち込んだプリントを挟んでいたウサギと猫の形のクリップだった。可愛い小物がこんなことに使われて悔しい。揺さぶられる度にウサギと猫も揺れて、強い刺激に反応してしまうのも恥ずかしい。  こんなことに使いたかったわけではないのに、じんじんとした痛みも、次第に甘い刺激に変わってしまった。 「痛いの嫌いだと思ったんだけどなぁ? 無理矢理されんのも嫌なんじゃなかったっけ? なあ」 「あんっ! ご、ごめんなさ、いっ……! あうぅっ……! あっ! ぁあっ!」  ライが指先でウサギを強く弾く。再び揺さぶられ、言葉で責められても、希望はただ、びくびくと身体を震わせるしかなかった。  逃げられないなら、ライの気が済むまで耐えるしかない、ともう諦めていた。    ……でもっこれくらいなら、なんとか……っ!    痛いのに気持ちいいのも、拘束されて物みたいに犯されてイッてしまうのも、悔しい。恥ずかしい。ライの都合良く反応してしまう身体が恨めしい。  けれど、お仕置きと言っても、普段のライがそもそも酷い男なのだ。酷いことをされるのにも多少慣れた。  だから、少しくらい耐えられる、と希望は奥歯を噛み締めた。   「平気そうだな」    ライの言葉に希望がびくっと震える。  ライは希望を見下ろして、笑っていた。一瞬遅れて我に返り、ライを睨む。 「平気じゃない! 胸も腕も痛いしっ……!」 「でも今、これくらいなら耐えられるって思っただろ」 「……!!」    ちくしょうっ! この人やっぱり心読みやがる!!    希望が目を見開いて固まっていると、ライが呆れたようにため息をついた。 「お仕置きになんねぇな。……あ」  ライが何気なく部屋を見渡し、ある場所で視線を止めた。希望から少し離れて、それを手に取る。  希望は身体を強張らせた。  希望が嫌な予感に震えて、ライを見つめている。  ライが手に取ったものを見せて、楽しそうな笑みを見せた。  ライが手に持っているのは、希望のスマートフォンだ。 「……? なにするのぉ……?」  何をする気か分からないが、自分にとって良くないことなのは確かだ。  恐ろしくて後退りしようとした希望をライがしっかりと掴んだ。口許は笑みの形に歪み、目を細める。 「お前が嫌がりそうなこと♡」 「ひっ……!」  甘く低い声は、やたら無邪気で楽しそうだった。      ***     「やだっ! やめて! やだやだやだっ! やめてよぉ!! やだよぉ……!!」  希望は必死に暴れるが、腕だけではなく、足まで拘束されてしまっていた。膝を折り曲げた状態で、ぐるぐるとガムテープを巻かれ、足は広げられたまま固定される。胸にはウサギと猫のクリップが付いたままだ。  それだけでも恥ずかしくて仕方ないのに、ライが持っているものを見て希望は必死で暴れていた。 「大丈夫だって。ほら、ローションこんなに塗りたくったから」 「やだ!!」  ライの手には、以前希望が出来心で購入してしまったおもちゃが握られていた。雄の象徴を模した形状の生々しさと大きさ、無機質な冷たさに、希望は恐れをなして隠したまま忘れていたのだ。  ライに見つかったのは知っていたが、とっくに捨てたとばかり思っていた。  しかし今、それはたっぷりのローションを纏って、より一層妖しく、淫靡に、凶悪な姿でてらてらを輝いている。    固く、ぬるりとしたおもちゃの先端を蕾に押し当てられて、希望は身体を震わせた。 「んっ! やっ…やだぁ……! やだってばぁ!」 「大丈夫大丈夫、怖くない怖くない」 「んんっ!」  赤く熟れた蕾の回りをぬるぬるなぞると、希望の背筋をぞわぞわと得たいの知れない感覚が這い上がる。  けれど、くぷり、と押し込まれて、希望は悲鳴を上げた。 「アァッ!? ……やっ…! 入んない、入んないよぉそんなの…っ」 「さっきまで俺の咥えこんでおいてなに言ってんだ」 「んぅっ……! うぅっ……!」  確かにおもちゃはライのものより少し小さい。つい先程までライを受け入れていたから、希望の中をゆっくりと、時折ぐり、ぐりと肉壁を刺激しながら奥へと届いてしまった。  ぐっぷりと己を貫くおもちゃは不慣れな身体に馴染まない。違和感と異物感に、希望はふるふると小さく震えていた。 「うっ…んぅ……っ」 「あーあ、ちょっと萎えちゃった」 「あっ、あぁぅっ……!」  ライが希望の中心に触れる。ライに手酷く犯されても涙を流して悦んでいたのに、今は少し項垂れていた。  ライが希望の反応を確認するように、ゆっくりと抜き差しする。希望は耐えるように顔を背けて、震えていた。 「あぅっ……んっ…っ! うぅ…っ…」 「……」  ライはじっと希望を観察している。けれど、ふと何かに気づいたようにおもちゃから手を離した。 「…っ……?」  まだえげつないおもちゃで貫かれているが、希望は少しほっとした様子でライを見つめる。希望はソファで寝転がされたままだ。  ライは希望の足側から、頭の方へ移動した。ソファに座ると、希望の頭を膝に乗せて、そっと撫でる。 「忘れてたぁ、あーん」 「えっ? ……んぐぅっ……?!」  希望がきょとん、としたまま薄く開いた口に、玩具よりずっと凶悪なものが捩じ込まれる。希望の頭をライの大きな手がしっかりと掴んで、動けない希望の代わりに口内を何度も擦り上げた。  喉の奥まで突く息苦しさに、希望の目に涙が滲む。 「んぅ、んんぅっ……! うぇ…っ、うぅっ…んっ……!」  ライは闇雲に喉を突くのではなく、希望の柔らかい舌や厚めの唇の感触、喉の締め付けを楽しんでいた。  けれど、希望が息苦しさに顔を歪めると、髪を撫で、耳を擽る。指先が頬を撫でると、苦しさや口内を擦る刺激がゾクゾクと身体を震わせた。    くるしい、のに…っなんでぇ……っ?    舌の上や顎の裏、口内を擦る刺激は犯されている時のそれと似ている気がしてきて、希望は混乱する。息苦しさと乱暴な行為の最中で、ライの手や指先が優しくて、耐えればいいのか、身を委ねればいいのかわからない。    混乱しながらも、いつに間にか希望の声は、呻き声ではなく、鼻にかかったような甘い声に変わっていた。 「ンンッ!? うぅんっ…あっ…っ…んぅっ…!」  ライが希望に突き刺さったままにおもちゃに手を伸ばして、ぐちゅぐちゅ、と動かし始めた。  引き抜かれる度にゾクゾクと快感が背中を這い上がり、奥を突かれる度にビリビリと快感が全身を走る。  先程まで異物でしかなかったそれを、身体が受け入れてしまっていた。口内の刺激と合わさって、じわじわと希望を追い詰めていく。  上も下も同時に責められるなんてことは今までなかったから、どう耐えればいいかわからない。  希望の中心がそそりたち、とろとろと涙を流し始めるまで時間はかからなかった。    あっ、だめ…っい、いっちゃぅ……っ    激しい快楽の波に呑まれようとしていた希望は、シャッター音で現実に引き戻された。 「!? んぇっ……?!」 「ああ、いいよ気にしなくて」 「ん、んぅっ!」  音の方向に目を向けようとすると、ライが希望の後頭部を掴んで、ぐっと欲望を押し付ける。より深く喉の奥まで届いてしまい、呻く間もシャッター音が容赦なく鳴り響いていた。希望は全身を強張らせる。    なに?! なにしてんの?!    希望がうーうー! と唸って抗議していると、シャッター音がようやく止まった。 「あっぅんっ?!」  ほっとしたのもつかの間、ライはおもちゃを乱暴に引き抜いてしまう。希望の身体がびくん、と大きく震えた。 「っ……あっ…っ…んっ……!」  希望は限界まで追い詰められながら、達することができなかったので、身体に触れられるだけで小さく震え、吐息を漏らしていた。  けれど、ライは構わず、希望を起こして、自分の胸にもたれ掛かれるように支える。 「ほら、可愛く撮れた」 「んぁっ…んっ……?」  ライが希望の前に差し出したのは希望のスマートフォンだった。希望は震えながら目を向け、言葉を失った。    太くて固いものを口いっぱいに頬張り、細められた目には涙が滲んでいるが、頬は赤く染まって恍惚としているように見える。  胸には淫靡な雰囲気に不釣り合いな可愛い猫とウサギのクリップをつけられ、ぷっくりと膨らんだピンク色が濃く染まっていた。  雄の象徴を模した凶悪なおもちゃをぐっぷりと飲み込みながら、自身の雄もそそり立たせて、涙さえ流している。   「――~~っっ!?」  画面に次々と映し出される自らの痴態に、希望は顔を真っ赤にして、声にならない悲鳴を上げた。  呆然としていると、ライが立ち上がって希望を見下ろす。非常に楽しそうに笑っていることが恐ろしくて仕方ない。 「舌出して」 「えぇ……? な、なんでぇ……?」 「ほら、はやく」  希望は訳が分からないまま、ちろり、と少しだけ舌を覗かせた。 「もっと興奮した犬みたいに、べーって」 「…っ……?」  恐る恐る舌を出すと、ライが親指と人差し指でぐいっと掴んだ。 「んぇっ…!?」  目を見開いてライを見つめるが、ライはまたスマートフォンを向けていた。 「んぁ……あぇっ……?」 「ん? ああ、可愛いよ」    そんなこと言われても嬉しくない!    希望は抗議したいが、舌を掴まれていては、涙目でライを睨むことしかできなかった。  ライはテーブルに目を向けると、スマートフォンの代わりに何かを手に取った。希望のヘアクリップだ。先が丸く、嘴のような形になっていて、まとめた前髪を挟んで留める時に使っている。  ライはそのまま、ヘアクリップで希望の舌を挟んでしまった。 「ぇあっ?!」 「じゃあ今度後ろからなー」 「あぅっ! ふぇ…っ…?」  座っていた希望は、ライに背中を押されて顔を下に向けた形で転がった。手足を拘束されていて、ライの方に尻をつき出すような形になる。  混乱していた希望は、蕾に押し当てられた熱いものに気づいて身体を強張らせた。希望が抵抗する前に、ずぐん、と入れられてしまう。 「んあっ! や…っらぁっ…!」 「こっち向いてー」 「ぅあっ…! やぁっ……あぁっ、んぅっ! あっ!」  揺さぶられて、ばちゅ、ばちゅと濡れた音に混じって、シャッター音が響いた。  舌を挟まれたままでは満足に発声もできなくて、揺さぶられてただ喘ぐ。おもちゃにたっぷりと塗られていたローションが中に残っているせいか、いくら希望が身体を強張らせ、締め付けても、ずるんずるん、と奥まで滑り込んでしまう。 「ひぁっ! あっ、ぁぁっ…っ! んぁっ…ああっ! んぅっ…あぁっ……!」  普段とは違う、粘着質な濡れた音とぬるぬると滑り込む熱に、希望はまた身体を震わせて、甘い声で鳴いた。    あっ……、これ、きもちいいっ……! きもちいいっ……!    ライを締め付ける中も、ビクビクと震えて限界を知らせる。このまま気をやってしまいたい、楽になりたい、と貪欲に快感を求めて、腰がきゅっと上がり、揺れてしまっていた。希望は気付いていないが、ライはその姿をじっと見つめている。 「あっあっ……! んっ、んん…っも、もぅ……! あっ、ぁぁっ! あっ……アアッ!?」  希望の熱が解放される直前、ライが希望の根本をきゅっと掴んでしまった。  達することができずに、希望の身体がビクビク震えている。ライの手から逃れようと腰を引こうとするが、ライの楔を受け入れたままではただ中の刺激が増すだけだった。  ライが希望の上半身を抱き上げて顔を上げさせる。顎を掴んで、無理矢理顔を向かせた。 「あぁっ……あんっ、えぇ……?」 「んー?」  なんで、とさえ発音できないが、ライにはわかったようだ。 「勃ってた方が撮る時に見映えいいだろ? だから、まだいっちゃだーめ」 「あっんあぁっ……!」  希望は必死に、いやいや、と首を振る。瞳を潤ませて、縋るようにライを見つめた。    希望の瞳は限界まで潤んで、切なそうに眉を寄せている。舌がヘアクリップで挟まれていて、しまうことができず、口を半開きにしたまま、唾液が溢れていた。厚めの唇が唾液でてらてらといやらしく光っている。    ライは愛おしそうに目を細めて希望を見つめた。 「……ああ、いい顔になってきた。お仕置きしがいがあるよ」  興奮を圧し殺すような声と僅かに熱を帯びた吐息に、希望は背筋が震えた。  暗い瞳の奥で、獰猛な獣が蠢いている。   「ほらぁ、目線あっち」 「やっあぁっ……! やらぁっ……!」 「入ってるトコと勃ってるトコ両方見えるのいいなぁ。抱えてやろっか」 「やっ、やっ……!」  首を振って拒む希望をライが抱えてすべてを晒してしまう。  身に余る羞恥に希望は震え、気を失いそうだった。 「あっ、あっ……! あぁっやぁぁぁ……!!」      もっ、もういやだぁ――! たすけてぇー!! 

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